VRChatをMacで楽しみたいけれど、公式に対応しておらず困っていませんか。Windows PCがないと遊べないと思われがちですが、実はMacユーザーでもVRChatの世界に入るやり方が存在します。
この記事では、具体的なプレイ方法から、オリジナルのアバター改変の進め方、M1やM2チップ搭載モデルにおける特有の注意点まで、網羅的に解説します。
多くの方が疑問に思う、VRゴーグルの利用可否や、公式のMac版の対応がいつになるのかといった将来性に関する情報もまとめました。失敗や後悔なくVRChatを始めるために、ぜひ最後までご覧ください。
- MacでVRChatをプレイするための具体的な方法
- アバター改変に必要となるツールとその導入手順
- M1/M2チップ搭載Mac特有の注意点や制限事項
- VRChatのMac公式対応に関する現状と将来性
VRChatのMac版の現状とプレイ方法
- MacでVRChatを遊ぶ方法は3通り
- Boot CampでWindowsを導入
- GeForce Nowを利用する
- Parallelsの利用と制限
- Macでアバター改変をする方法
- UnityとALCOMの導入手順
MacでVRChatを遊ぶ方法は3通り
VRChatは公式にはWindowsにのみ対応しており、macOS向けのアプリケーションは提供されていません。そのため、MacでVRChatをプレイするには、何らかの方法でWindows環境を用意するか、代替となるサービスを利用する必要があります。
現在、MacユーザーがVRChatを遊ぶための主な方法は、大きく分けて3つ考えられます。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、お持ちのMacのモデル(Intel製CPUかApple Siliconか)によって選択肢が異なります。
これらのことから、お持ちのMacがIntel製CPUを搭載している場合はBoot Campが最も確実な選択肢です。一方、M1やM2などのApple Siliconを搭載したMacの場合は、GeForce Nowが唯一の現実的なプレイ方法と言えます。
Parallelsなどの仮想化ソフトは、VRChatのセキュリティシステムと互換性がないため、利用できない点に注意が必要です。
Boot CampでWindowsを導入
Boot Campは、Appleが公式に提供しているIntelチップを搭載したMacにWindowsをインストールするための仕組みです。この機能を利用すると、Macを再起動する際にmacOSかWindowsかを選択できるようになり、Macを完全なWindowsマシンとして動作させることが可能になります。
Boot Campの利点と注意点
最大の利点は、仮想環境などを介さず、Macのハードウェアで直接Windowsを動かすため、パフォーマンスの低下がほとんどないことです。これにより、VRChatのような高いグラフィック性能を要求するアプリケーションも比較的安定して動作させられます。
ただ、この方法は2020年以前に発売されたIntel製CPUを搭載するMacでのみ利用可能です。M1、M2、M3といったApple Silicon搭載のMacではBoot Campを使用できないため、この方法は選択できません。また、別途Windowsのライセンスキーを購入する必要がある点も留意しておくべきでしょう。
導入手順は、Macに標準でインストールされている「Boot Campアシスタント」の指示に従うだけで比較的簡単に行えますが、Windows用にストレージのパーティションを分割するため、十分な空き容量を確保しておくことが大切です。
GeForce Nowを利用する
GeForce Nowは、NVIDIAが提供するクラウドゲーミングサービスです。サーバー側でゲームを実行し、その映像をストリーミング形式で手元のデバイスに映し出す仕組みであり、Macのスペックに依存せずにPCゲームをプレイできます。
GeForce Nowでのプレイ体験
このサービスの大きな魅力は、M1やM2といったApple Silicon搭載のMacでもVRChatを遊べる点にあります。Mac本体の性能を問わないため、比較的スペックの低いMacBook Airなどでも、デスクトップモードであれば快適にプレイできる可能性があります。
しかし、快適なプレイには安定した高速なインターネット回線が不可欠です。回線速度が遅かったり不安定だったりすると、映像の乱れや操作の遅延が発生し、体験の質が著しく低下します。
また、2025年現在、GeForce NowはVRヘッドセットを利用したVRモードには対応していません。あくまでキーボードとマウスで操作するデスクトップモードでのプレイに限られます。
料金プランは、時間制限付きのフリープランから、長時間のプレイが可能な有料プランまで複数用意されています。まずはフリープランで、ご自身の通信環境で快適に動作するか試してみるのが良いでしょう。

Parallelsの利用と制限
Parallels Desktopは、Mac上でWindowsなどのOSを仮想的に実行するためのソフトウェアです。macOSを起動したまま、一つのウィンドウ内でWindowsを動かせるため非常に便利なツールですが、VRChatのプレイには向いていません。
その理由は、VRChatに導入されている「Easy Anti-Cheat(EAC)」という不正行為防止システムにあります。このEACは、仮想マシン上でのゲーム起動を検知し、セキュリティ上の理由からブロックする仕様になっています。
特にApple Silicon搭載のMacでARM版Windowsを介してVRChatを実行しようとすると、EACがエラーを吐き出し、ゲームを起動することができません。これはParallels側の問題ではなく、VRChat側のセキュリティ仕様によるものです。
したがって、MacでWindowsアプリケーションを動かす一般的な用途には非常に優れたParallelsですが、VRChatをプレイする目的においては、現状では機能しない選択肢であると認識しておく必要があります。
Macでアバター改変をする方法
VRChatの大きな魅力の一つであるアバターのアップロードや改変作業は、Macでも行うことが可能です。この作業には「Unity」というゲーム開発エンジンと、VRChatのプロジェクトを管理するためのツールが必要になります。
Windows環境では公式の「VRChat Creator Companion(VCC)」というツールを使用するのが一般的です。しかし、このVCCはmacOSに対応していません。
そのため、MacユーザーはVCCの代替となる非公式のツールを利用する必要があります。幸いなことに、有志によって開発された非常に優秀な代替ツールが存在するため、MacでもWindowsとほぼ遜色ない改変作業を進めることが可能です。次の項目で、その具体的な導入手順を解説します。
UnityとALCOMの導入手順
Macでアバター改変を行うには、「Unity」と、VCCの代替ツールである「ALCOM」の2つをインストールします。
Unityのインストール
まず、Unityのプロジェクトを管理するための「Unity Hub」を公式サイトからダウンロードしてインストールします。インストール後、Unity Hubを起動し、Unityアカウントでログインまたは新規作成してください。
次に、VRChatが指定するバージョンのUnityをインストールします。VRChatの公式サイトで現在の推奨バージョン(2025年8月時点では「2022.3.22f1」)を確認し、Unity Hubのインストールリストから該当バージョンを選択します。
この際、お使いのMacに合わせて「Apple Silicon」版か「Intel」版かを選ぶのを忘れないようにしましょう。また、後々のために「Android Build Support」モジュールも同時に追加しておくと便利です。
ALCOMのインストール

ALCOMは、VCCの機能をMacで実現するために開発された非公式の管理ツールです。公式サイトからdmgファイルをダウンロードし、アプリケーションフォルダにドラッグ&ドロップするだけでインストールは完了します。日本語にも対応しており、直感的に操作することが可能です。
ALCOMを起動すれば、VRChatプロジェクトの新規作成や、既存プロジェクトの管理、SDKや各種ツールの導入を簡単に行うことができます。これにより、Macユーザーでもスムーズにアバター改変の世界へ足を踏み入れることが可能になります。
VRChatのMac利用時の注意点と将来性
- M1 M2チップ搭載Macでの違い
- Easy Anti-Cheatが原因の問題
- MacでVRゴーグルは使えるのか
- 公式のMac版VRChat対応はいつ?
- VRChat Macで遊ぶための総まとめ
M1 M2チップ搭載Macでの違い
Intel製CPUを搭載したMacと、M1やM2といったApple Siliconを搭載したMacとでは、VRChatをプレイするための選択肢が大きく異なります。この違いを理解しておくことが、後悔しないための鍵となります。
Intel Macの選択肢
前述の通り、Intel Macの最大の強みは「Boot Camp」が利用できる点です。これにより、Windowsをネイティブ環境で動作させられるため、パフォーマンス面で最も有利であり、VRChatをプレイするための最も確実な方法と言えます。
Apple Silicon Macの制限
一方で、Apple Silicon搭載のMacではBoot Campが利用できません。これはCPUのアーキテクチャが根本的に異なるためです。このため、プレイするための選択肢は「GeForce Now」などのクラウドゲーミングサービスに限定されます。アバター改変はUnityとALCOMで可能ですが、プレイ環境が限られるのが現状です。
要するに、MacでVRChatを本格的にプレイしたい場合、Intel Macの方が選択肢は広いですが、Apple Silicon Macでもクラウドゲーミングを利用すればデスクトップモードで体験することは可能、ということです。
Easy Anti-Cheatが原因の問題
MacでVRChatをプレイするのがこれほど複雑である根本的な原因の一つが「Easy Anti-Cheat(EAC)」の存在です。EACは、多くのオンラインゲームで採用されているチート行為(不正行為)を防止するためのシステムです。
VRChatは2022年にこのEACを導入しましたが、このシステムがmacOSや仮想環境との間に高い壁を作っています。EACは、macOSにネイティブ対応しておらず、特にApple SiliconのARMアーキテクチャでは動作しません。
さらに、Parallelsのような仮想マシン環境を検知すると、チートの温床となりうるとしてプログラムの実行をブロックします。これが、Parallelsを使ってもVRChatを起動できない直接的な理由です。
つまり、VRChatがMacに公式対応するためには、単にアプリを移植するだけでなく、このEACの問題をクリアする必要があるのです。
MacでVRゴーグルは使えるのか
結論から言うと、MacにVRゴーグルを直接接続してVRChatをVRモードでプレイすることは、極めて困難です。かつて一部のVRシステムがmacOSをサポートしていた時期もありましたが、現在では主要なプラットフォーム(SteamVRなど)がmacOSのサポートを終了しています。
理論上の可能性としては、Intel MacでBoot Campを使い、Windows環境でVRゴーグルを接続する方法が考えられます。しかし、多くのMacBookはVRに必要な高いグラフィック性能を持っておらず、高性能な外付けGPU(eGPU)が別途必要になるなど、コストと手間が非常にかかります。
そのため、MacユーザーがVRでVRChatを体験したい場合、最も現実的な方法はMacとは切り離して考えることです。具体的には、PCに接続しなくても単体でVRChatが動作する「Meta Quest 3」などのスタンドアロン型VRヘッドセットを購入するのが、最も簡単かつ快適な選択肢となります。
公式のMac版VRChat対応はいつ?
多くのMacユーザーが待ち望んでいる公式のMac版VRChatですが、2025年現在、開発元であるVRChat Inc.から対応に関する具体的な発表やロードマップは示されていません。
VRChatの公式フィードバックサイトには、macOS対応を望む声が多数寄せられています。特にApple Siliconの普及と性能向上により、技術的な下地は整いつつあります。また、VRChatがiOS向けアプリのベータ版を提供していることから、同じAppleのエコシステムであるmacOSへの展開を期待する声もあります。
しかし、前述のEasy Anti-Cheatとの互換性問題や、Windowsに比べてゲーム市場が小さいことなど、対応には複数のハードルが存在します。
Apple自身がVision Proを発売し、空間コンピューティングに力を入れているため、将来的には状況が変わる可能性もゼロではありませんが、現時点では長期的な期待に留めておくのが賢明でしょう。
VRChatをMacで遊ぶための総まとめ
この記事で解説した、MacでVRChatを遊ぶための方法や注意点について、重要なポイントを以下にまとめます。
- VRChatに公式のmacOS版は存在しない
- Intel CPU搭載のMacであればBoot Campの利用が最も確実
- Boot CampではWindowsをネイティブに実行できパフォーマンスが高い
- Apple Silicon(M1, M2, M3など)搭載のMacではBoot Campは利用不可
- Apple Silicon搭載MacでのプレイはGeForce Nowが現実的な選択肢
- GeForce Nowはクラウドゲーミングであり安定した高速回線が必須
- GeForce NowではVRモードでのプレイはできない
- Parallelsなどの仮想環境はEACによりブロックされVRChatは起動しない
- Mac非対応の大きな原因はEasy Anti-Cheat(EAC)というシステム
- アバターの改変作業はMacでも可能
- アバター改変にはUnityと非公式ツールALCOMが必要
- 公式管理ツールVCCはWindows専用でMacでは使えない
- MacにVRゴーグルを直接接続してのプレイは非常に困難
- VR体験をしたい場合はMeta Questなどの単体動作する機器がおすすめ
- 公式のMac版VRChatがいつ対応するかは現在未定