「VRChatをPSVR2で遊びたい」と考えている方は多いのではないでしょうか。人気のソーシャルVRプラットフォームであるVRChatですが、いざPSVR2でプレイしようとすると、どうすれば良いのか分かりにくいかもしれません。
実は、PS5単体でVRChatを直接プレイすることはできませんが、PSVR2をお持ちであれば、PCと接続することによって遊ぶ道が開かれます。
この記事では、VRChatをPS5の周辺機器であるPSVR2で楽しむための具体的な方法から、必要となるPCスペック、他の対応機種との違いまで、網羅的に解説していきます。
- PSVR2でVRChatを遊ぶための具体的な手順
- 必要になるPCのスペックや周辺機器
- PSVR2でプレイする際のメリットと注意点
- 他のVRヘッドセットとの違いや特徴
VRChatをPSVR2でプレイする唯一の方法
- PS5単体でVRChatはプレイ不可
- PC接続で必要になるPSVR2 PCアダプター
- 動作に必須なPCスペックと周辺機器
- SteamVRのインストールと初期設定
- PSVR2 PCアダプターの具体的な接続手順
PS5単体でVRChatはプレイ不可
まず最も大切な点として、2025年8月現在、VRChatはPlayStation 5単体ではプレイすることができません。これは、VRChatのアプリケーションがPlayStation Storeで配信されていないためです。
VRChatは主にPC向けのプラットフォーム(SteamVR)や、Meta Questシリーズのようなスタンドアロン型VRヘッドセット向けに開発・提供されています。そのため、PS5のゲームライブラリで検索してもVRChatは見つからず、直接インストールして遊ぶことは不可能です。
したがって「PS5本体とPSVR2だけ」という環境ではVRChatを体験できない、という点を最初に理解しておく必要があります。
PC接続で必要になるPSVR2 PCアダプター
PS5単体でのプレイはできませんが、もしあなたがPSVR2をお持ちであれば、PCに接続することでVRChatを遊べるようになります。これを実現するのが、ソニー・インタラクティブエンタテインメントから公式に発売されている「PlayStation VR2 PCアダプター」です。
このアダプターは、PSVR2とゲーミングPCを中継する役割を果たします。具体的には、PSVR2から出力される信号を、PCが認識できるDisplayPort 1.4とUSBの信号に変換します。
希望小売価格は8,480円(税込)となっており、これを導入することで、PS5専用だったPSVR2がPC向けのVRヘッドセットとしても機能するようになります。つまり、VRChatを含む、Steamで配信されている多種多様なPCVRコンテンツへの扉が開かれるわけです。
動作に必須なPCスペックと周辺機器
PSVR2をPCに接続してVRChatをプレイするためには、一定以上の性能を持つゲーミングPCが不可欠です。VRコンテンツは非常に高いグラフィック描画能力を要求するため、PCのスペックが低いと、フレームレートが低下して快適な体験が得られなかったり、VR酔いの原因になったりします。
公式からアナウンスされている動作に必要なPCスペックは以下の通りです。
また、PCアダプター本体に加えて、市販の「DisplayPort 1.4に対応したDisplayPortケーブル」が別途必要になる点にも注意が必要です。このケーブルは同梱されていないため、ご自身で用意しなくてはなりません。
SteamVRのインストールと初期設定
ハードウェアの準備と並行して、PC側でのソフトウェアの準備も進める必要があります。PSVR2をPCで利用するためには、2つの主要なソフトウェアをインストールしなければなりません。
一つ目は、PCゲームの巨大プラットフォームである「Steam」です。VRChatをはじめとする多くのPCVRゲームはSteamを通じて配信されているため、まずSteamアカウントを作成し、クライアントをPCにインストールします。
二つ目に、Steamストアから「PlayStation VR2 App」と「SteamVR」という2つのアプリケーションをインストールします。

「PlayStation VR2 App」は、PSVR2をPCに認識させ、設定を行うための公式ツールです。一方の「SteamVR」は、様々なVRヘッドセットをPCで動作させるための基本的なシステム(ランタイム)となります。この両方が揃って初めて、PSVR2でPCVRコンテンツを遊ぶ準備が整います。
PSVR2 PCアダプターの具体的な接続手順
物理的な接続とソフトウェアのセットアップには、正しい手順を踏むことが求められます。手順を誤るとデバイスが正常に認識されないことがあるため、落ち着いて作業を進めましょう。
接続と設定のステップ
-
物理接続: まず、PSVR2本体のUSB Type-CケーブルをPCアダプターに接続します。次に、PCアダプターから出ているUSBケーブルと、別途用意したDisplayPortケーブルをPCの対応するポートに接続します。
-
専用アプリの起動: PCで、先ほどインストールした「PlayStation VR2 App」を起動します。
-
コントローラーのペアリング: アプリの画面に表示される指示に従い、左右のPS VR2 SenseコントローラーのPSボタンを長押しして、PCとBluetoothでペアリングさせます。
-
プレイエリアの設定: ペアリングが完了したら、PSVR2を装着します。周囲の安全を確認しながら、自分が動く範囲である「プレイエリア」を設定します。
-
SteamVRの起動: 初期設定が終わったら、Steamクライアントから「SteamVR」を起動します。
-
VRChatの起動: SteamVRのホーム画面が表示されたら、そこからVRChatを起動すれば、ゲームを開始できます。
ゲームをプレイする際は、毎回「PlayStation VR2 App」を起動してから「SteamVR」を立ち上げる、という流れを覚えておくとスムーズです。
VRChatとPSVR2接続のメリットとデメリット
- PSVR2で見るVRChatの美麗な世界
- Meta Quest 3との比較と特徴
- 有線接続や音響に関する注意点
- Bluetooth接続の相性問題
- スマホやスタンドアロンVRの対応機種
PSVR2で見るVRChatの美麗な世界
PSVR2をPCに接続してVRChatを体験する最大のメリットの一つは、その美麗な映像表現にあります。PSVR2は、片目あたり2000×2040ピクセルという高解像度の有機EL(OLED)パネルを搭載しています。
有機ELは、液晶パネルと比較して「黒」の表現力に非常に優れているのが特徴です。自発光するため、完全な黒を表現でき、これによりコントラストが際立ちます。VRChat内の、夜景が美しいワールドや、暗闇にネオンが輝くような空間では、その性能を存分に発揮し、深い没入感を得られます。
また、アバターやオブジェクトの色彩も鮮やかに表示されるため、ワールドの制作者が意図した通りの世界観を体験できると考えられます。
ただし、PC接続時にはPS5接続時の一部の機能、例えばHDR(ハイダイナミックレンジ)表示や視線トラッキング、ヘッドセットフィードバックなどは利用できなくなる点には留意が必要です。
Meta Quest 3との比較と特徴
PCVR環境においては、Meta Quest 3も非常に人気のある選択肢です。PSVR2とQuest 3はそれぞれに異なる強みと弱みがあり、どちらを選ぶかはユーザーのプレイスタイルや重視するポイントによって変わります。
PSVR2は重量バランスに優れた設計で、長時間の装着でも疲れにくいという利点があります。一方、Meta Quest 3はPCとワイヤレスで接続できるため、ケーブルの存在を気にすることなく自由に動き回れるのが最大の魅力です。
また、Quest 3が採用するパンケーキレンズは、視野の中心から周辺部までクリアな映像が得やすいという特長があります。色の鮮やかさを取るか、動きの自由度と映像のクリアさを取るかが、一つの選択基準となるでしょう。
有線接続や音響に関する注意点
PSVR2をPCで利用する際には、いくつかの物理的な注意点も存在します。最も大きいのは、有線接続であるという点です。
約4.5mの長さを持つケーブルは、座ってプレイする分には十分な長さですが、立って動き回るようなプレイスタイルの場合、足に絡まったり、体の動きを阻害したりする可能性があります。ケーブルの重さや存在感が没入感を削いでしまうと感じる人もいるかもしれません。
対策として、ケーブルを天井から吊るす「ケーブルマネジメントシステム」などを導入する方法もありますが、ひと手間かかるのは事実です。
また、音響面では、付属のステレオヘッドホン(イヤホン)の音質が好みに合わない可能性も考えられます。一部のレビューでは高音が強調されすぎているという指摘もあり、BGMや効果音のバランスが気になる場合は、普段使っているお気に入りのイヤホンやヘッドホンに交換することを検討するのが良いでしょう。
Bluetooth接続の相性問題
コントローラーの接続に関しても、注意すべき点があります。PS VR2 Senseコントローラーは、PCとはBluetoothを介してワイヤレスで接続されますが、この接続がPC側の環境によっては不安定になるケースが報告されています。
これは、PCに内蔵されているBluetoothモジュールの性能やアンテナの感度、あるいは他の電波との干渉などが原因で起こると考えられます。コントローラーのトラッキング(位置追跡)が突然途切れたり、手の位置が飛んでしまったりする症状が発生すると、ゲームプレイに大きな支障をきたします。
もしこのような問題に直面した場合、対策として評価の高い外付けのUSB Bluetoothアダプターを導入すると、状況が大幅に改善することがあります。PC本体から離れた位置にUSB延長ケーブルでアダプターを設置し、コントローラーとの間に障害物がないようにすると、より安定した接続が期待できます。
スマホやスタンドアロンVRの対応機種
前述の通り、VRChatはPCとPSVR2の組み合わせ以外にも、さまざまなデバイスで楽しむことが可能です。自身の環境や予算に合わせて最適なプラットフォームを選択できるのも、VRChatの魅力の一つです。
スタンドアロンVR
Meta Questシリーズ(Quest 2, Quest 3など)やPICO 4といった、PCに接続しなくても単体で動作するVRヘッドセットが対応しています。
これらはケーブルレスで手軽に始められるのが最大のメリットですが、PC版と比較してグラフィック性能に制限があるため、表示できるアバターやワールドの一部が制限されることがあります。
スマートフォン
Android端末向けには、オープンベータ版のVRChatアプリが提供されています。これにより、VRヘッドセットがなくてもVRChatの世界に入ることができます。
iOS(iPhone/iPad)版も開発中ですが、現在は一部のユーザー向けのクローズドベータ段階です。スマホ版もスタンドアロンVR版と同様に、コンテンツに一部制限がかかります。
PC単体(デスクトップモード)
VRヘッドセットを持っていなくても、Windows PCがあればデスクトップモードでVRChatをプレイできます。通常のPCゲームのように、モニター画面を見ながらキーボードとマウス、またはゲームパッドでアバターを操作します。
VRChatをPSVR2で楽しむためのまとめ
この記事では、VRChatをPS5の周辺機器であるPSVR2を使ってプレイする方法について詳しく解説しました。最後に、本記事の重要なポイントを箇条書きでまとめます。
- VRChatはPS5単体ではプレイできない
- PS5とPSVR2を持っていてもPCがなければ遊べない
- PSVR2をPCに接続すればVRChatをプレイ可能になる
- 接続には別売りの「PlayStation VR2 PCアダプター」が必須
- アダプターの他にDisplayPort 1.4ケーブルも必要
- VRChatを快適に遊ぶにはゲーミングPCが推奨される
- PCにはSteamと専用アプリ2種のインストールが必要
- 有機ELディスプレイによる色鮮やかな映像が大きな魅力
- ヘッドセットの重量バランスが良く装着感は良好
- PC接続時はHDRや視線トラッキング機能は使えない
- 有線接続のため動きの自由度は無線VRに劣る
- PCとのBluetooth相性で接続が不安定になる場合がある
- 不安定な場合は外付けBluetoothアダプターが有効
- VRChatにはPC不要のスタンドアロンVR版やスマホ版もある
- PC接続は最も高品質なVRChat体験ができる方法の一つ