VRChatをプレイしていると、特定の状況で動作が重いと感じることはありませんか。特にイベント中の重いワールドや、大人数のインスタンスで急に重くなる現象に悩まされている方も多いと思います。
この記事では、VRChatが重いと感じる原因を切り分け、具体的な解決策をVRChat内の設定からPC側の調整まで、網羅的に解説します。
グラフィック設定のおすすめや、バーチャルデスクトップ利用時の注意点にも触れていきますので、快適なVRCライフを取り戻すための一助となれば幸いです。
- VRChatが重くなる主な原因の特定
- VRChat内で完結する具体的な負荷軽減設定
- PC側で調整できるパフォーマンス改善方法
- 状況に応じた最適な設定の組み合わせ
VRChatが重い時に試すべきVRChat内の設定
まず、VRChatのアプリケーション内で直接変更できる設定から見直していきましょう。これらの設定は、パフォーマンスに最も直接的な影響を与える項目が多く含まれています。
- アバター表示人数の制限(カリング)
- シールドレベルでアバター機能を制限する
- おすすめのグラフィック設定はプリセットで簡単
- アバターのパフォーマンスランクを意識する
- 重いワールドではパーティクル制限が有効
アバター表示人数の制限(カリング)
VRChatのパフォーマンスを改善する上で、最も効果が高い対策がアバターの表示人数を制限する、通称「カリング」です。多くのユーザーが同時に存在するイベントなどでは、この設定一つで動作が劇的に改善される可能性があります。
なぜなら、表示するアバターの数が減ることで、CPUとGPUの両方にかかる描画負荷を大幅に削減できるからです。特に、VRChatの負荷は表示されるアバターの複雑さに大きく依存するため、この対策は非常に有効です。
アバターの表示人数は「Launch Pad」→「設定(歯車のマーク)」→「アバターのカリング」から設定できます。
『表示する範囲』
設定した範囲内のアバターを表示します。例えば、50mにすれば、自分の周囲50m以内のアバターが表示されます。
『表示するアバターの数』
設定した数までアバターを表示します。例えば、15人にすれば、表示されるアバターは15人までとなります。一番重要な設定です!
『フレンドのアバターを常に表示』
オンにすると、距離や人数の設定にかかわらず、フレンドのアバターはいつでも表示されるようになります。オンにしておくのがおすすめです。
『個別に表示したアバターを常に表示』
「この人のアバターが見たい!」と思って個別に表示したアバターが、いつでも見えるようになる設定です。こちらもオンにしておくと安心です。
表示するアバターの数を制限するだけでも、パフォーマンスは大きく向上します。パフォーマー視点であれば、最前列のユーザーが見えれば十分な場合も多いため、負荷と体験のバランスが良い設定と言えます。
さらに負荷を下げたい場合は、表示するアバターの数を0にして「個別に表示したアバターを常に表示」をオンにすることで、特定のフレンドや共演者のアバターだけを表示させるという方法も考えられます。
シールドレベルでアバター機能を制限する
次に有効なのが「シールドレベル」の設定です。これは、ユーザーランクやフレンド関係に基づいて、アバターに搭載されている各種機能(オーディオ、パーティクル、ライトなど)の表示を個別にオン・オフする機能です。
この設定は、迷惑行為への対策として知られていますが、負荷軽減の手段としても非常に役立ちます。特に、最適化が不十分なアバターが放つ過剰なエフェクトは、パフォーマンス低下の大きな原因となります。
シールドレベルは「Launch Pad」→「設定(歯車のマーク)」→「メインメニューを開く」→「シールドレベル」から設定できます。
設定画面の左側にある「シールドレベル」から「最大」を選択すると、フレンドや特定のランク以外のユーザーはデフォルトのロボットアバターで表示され、声以外の機能がほぼ無効になります。
これにより、予期せぬ高負荷アバターによるパフォーマンス低下を未然に防ぐことが可能です。ただし、デメリットとして多くの人がロボットに見えてしまうため、ワールドの賑やかな雰囲気が損なわれる点は考慮する必要があります。
おすすめのグラフィック設定は「品質のプリセット」で簡単
個別の設定項目がよく分からないという場合は「グラフィックス」設定内にある「品質のプリセット」を利用するのが手軽でおすすめです。この機能を使えば、ワンクリックで複数のグラフィック設定を一括変更できます。
プリセットは、アンチエイリアシングやミラーの解像度、影の表現といった、パフォーマンスに影響する複数の項目をバランス良く調整してくれるため、手軽に負荷を下げたい場合に有効な手段となります。
品質のプリセットは「Launch Pad」→「設定(歯車のマーク)」→「メインメニューを開く」→「グラフィックス」から設定できます。
「品質のプリセット」を「中」や「低」に変更します。これだけで、PCのスペックに合わせた負荷の状態に自動で調整されるので便利です。
ただし、この設定だけで得られる効果は、前述のアバターカリングほど大きくはありません。他の対策と組み合わせることで、より効果を発揮すると考えてください。
アバターのパフォーマンスランクを意識する
自分自身が使用するアバターの「パフォーマンスランク」を意識することも、快適なVRChat体験には欠かせません。このランクは、アバターの負荷を示す指標であり、Excellent(非常に軽い)からVery Poor(非常に重い)までの5段階で評価されます。
パフォーマンスランクが重いアバター、特にVery Poorのアバターは、自分自身のPCだけでなく、同じインスタンスにいる他の全ユーザーにまで大きな負荷をかけてしまう可能性があります。イベントによっては、このランクによって参加が制限されるケースも少なくありません。
アバターのランクは、メッシュ数やマテリアル数、PhysBoneコンポーネントの数など、多くの要素によって決定されます。アバターを改変して衣装を追加したり、ギミックを組み込んだりすることで、意図せずランクが悪化していることもあります。
「Avatar Optimizer」のような最適化ツールを利用すれば、見た目をほとんど変えずにアバターを軽量化することも可能です。周りの人への配慮としても、アバターの最適化は常に心がけたいポイントです。

重いワールドではパーティクル制限が有効
特定のワールドに入ると特に重く感じる場合、そのワールドで多用されているパーティクルエフェクトが原因である可能性が高いです。パーティクルは、GPUに大きな負荷をかける要因の一つです。
この負荷を軽減するため、VRChatにはパーティクルの表示数を制限する機能が備わっています。特にエフェクトが多用されるワールドや、パーティクルを多用するアバターが集まっている場面で効果を発揮します。
パーティクルの表示上限数を下げることで、GPU負荷を直接的に軽減することが可能です。
パーティクルは「Launch Pad」→「設定(歯車のマーク)」→「メインメニューを開く」→「グラフィックス」から設定できます。
ワールドの演出が少しシンプルになるというデメリットはありますが、動作が不安定になるよりは快適に過ごせるはずです。重いと感じたら、まず試してみる価値のある設定です。
VRChatが重い時に確認したいPC側の設定
VRChat内の設定を見直しても改善しない場合は、PC側の設定や環境に原因があるかもしれません。ここでは、VRChatの外で確認・調整できる項目について解説します。
- SteamVRのレンダリング解像度を下げる
- バーチャルデスクトップのストリーミング設定
- グラフィックボードのドライバー更新も重要
- OBS等エンコードソフトとの負荷分散
- 急に重くなる原因は他アプリの可能性も
- VRChatが重いなら設定項目を総チェック
SteamVRのレンダリング解像度を下げる
PCVRでVRChatをプレイしている場合、SteamVRの「レンダリング解像度」を下げることは、GPU負荷を軽減する上で非常に効果的な手段です。
なぜなら、この設定はVRヘッドセットに表示される映像の元となる解像度を直接変更するため、下げることでGPUが行うべき計算量が大幅に減るからです。VRChatの画面がカクカクして操作すら困難な状況に陥った際に、まず試すべき対策と言えます。
①SteamVRの設定画面の左上にある三本線のマークをクリックします
②設定をクリックします。
③「片目当たりの解像度」のスライダーを動かして調整します。まずは50%程度まで下げてみて、そこから少しずつ調整するのが良いでしょう。
パフォーマンスを優先するなら20%程度まで下げても、案外近くのものははっきりと見えます。視界が少しぼやけるというデメリットはありますが、得られるパフォーマンス向上のメリットは非常に大きいです。
バーチャルデスクトップのストリーミング設定
ワイヤレスでPCVRを楽しむ多くのユーザーが利用している「Virtual Desktop」にも、パフォーマンスを左右する重要な設定がいくつか存在します。これらの設定を最適化することで、より快適なワイヤレス体験が可能になります。
ストリーミング品質は、PCの性能、ネットワーク環境、そしてVirtual Desktopの設定という3つの要素のバランスで決まります。特に、解像度やビットレート、使用するコーデックの選択が鍵となります。
以下に、主要な設定項目とその効果をまとめました。
設定項目 |
効果と推奨 |
---|---|
VR Graphics Quality |
HMDに送る映像の解像度を決定します。PCスペックに最も依存する項目で、重い場合は「Low」や「Medium」に下げると効果的です。Quest 3など高解像度なHMDの性能を活かすなら「High」以上が推奨されます。 |
VR Bitrate |
映像の転送量です。高くすると画質が向上しますが、ネットワーク負荷と遅延が増加します。WiFi環境が安定しているなら高く、不安定なら低めに設定します。 |
Preferred Codec (PC側) |
映像の圧縮形式です。新しい「AV1」や「HEVC」は圧縮率が高く、同じビットレートでも高画質になりますが、PCとHMD双方の対応が必要です。遅延を最優先するなら「H.264」も選択肢に入ります。 |
Synchronous Spacewarp (SSW) |
フレームレートが維持できない時に、フレームを補完して滑らかに見せる機能です。カクツキは減りますが、映像が歪んで見えることがあるため、好みが分かれます。酔いやすい場合は無効(Disabled)を試す価値があります。 |
これらの設定を自身のPCスペックとネットワーク環境に合わせて調整することが、快適なプレイにつながります。
グラフィックボードのドライバー更新も重要
見落としがちですが、グラフィックボード(GPU)のドライバーを最新の状態に保つことも、パフォーマンスの安定化に寄与します。
ドライバーのアップデートには、最新のゲームやアプリケーションへの最適化が含まれていることが多く、更新するだけでVRChatの動作が安定したり、フレームレートが向上したりする場合があります。
アップデートは、NVIDIAの「GeForce Experience」やAMDの「Adrenalin Edition」といった管理用ソフトウェアから簡単に行うことができます。
定期的に更新を確認する習慣をつけるのがおすすめです。ただし、ごく稀に新しいドライバーが不安定な場合もあるため、もし更新後に問題が発生した場合は、以前のバージョンにダウングレード(バージョンを戻す)する方法も覚えておくと安心です。
OBS等エンコードソフトとの負荷分散
VRChatの様子を配信したり録画したりする場合、OBS Studioなどのエンコードソフトの負荷も考慮に入れる必要があります。VRChatとエンコードソフトは、PCのリソース(特にGPUとCPU)を奪い合う関係にあるからです。
PCの負荷状況を考慮せず、VRChatでGPU使用率が限界に近い状態で、さらにGPUを使ったエンコード(例:NVENC)を行うと、処理が破綻してVRChatも配信も全てカクカクになってしまう危険性があります。
これを避けるためには、負荷の分散が大切です。例えば、VRChatでGPU負荷が高い場合はOBSのエンコーダーをCPU処理である「x264」に設定し、逆にCPU負荷が高い場合はGPU処理の「NVENC」を選択するといった調整が有効です。
タスクマネージャーでPC全体の負荷状況を確認しながら、どちらに処理を任せるか判断するのが良いでしょう。
急に重くなる原因は他アプリの可能性も
VRChatのプレイ中に突然パフォーマンスが低下した場合、VRChat自体ではなく、バックグラウンドで動作している他のアプリケーションが原因である可能性も考えられます。
ウイルス対策ソフトのスキャンや、OSのアップデート、各種ソフトウェアの自動更新などが意図しないタイミングで実行されると、CPUやストレージに大きな負荷がかかり、VRChatの動作に影響を与えることがあります。
また、DJソフトの「Rekordbox」のように、起動しているだけでGPUリソースを一定量消費し続けるアプリケーションも存在します。
急に重くなったと感じたら、一度デスクトップに戻り、タスクマネージャーを起動してCPUやGPU、ディスクの使用率が高いプロセスがないか確認してみてください。もし原因となっているアプリケーションが見つかれば、それを終了させることでパフォーマンスが回復するはずです。
VRChatが重いなら設定項目を総チェック
ここまで解説してきたように、VRChatが重いと感じる原因は一つではなく、様々な要因が複雑に絡み合っている場合がほとんどです。この記事で紹介した項目を一つずつ確認し、自分の環境に合った最適な設定を見つけることが、快適なVRChatライフへの近道となります。
- 最も効果的な対策はアバターの表示人数制限(カリング)
- イベントでは表示人数を10人から15人程度にするとバランスが良い
- シールドレベルを「最大」にすると他ユーザーのアバター負荷を無効化できる
- グラフィック設定が分からない場合は品質プリセットの「中」か「小」を試す
- 自身の使用アバターはVery Poorランクを避けるのが望ましい
- アバターの軽量化にはAvatar Optimizerなどのツールが有効
- ワールド固有の重さはパーティクル制限で改善することがある
- PCVRではSteamVRのレンダリング解像度を50%以下に下げるとGPU負荷が激減する
- ワイヤレス環境ではVirtual Desktopの設定がパフォーマンスを左右する
- Virtual Desktopでは解像度、ビットレート、コーデックのバランスが重要
- グラフィックボードのドライバーは定期的に最新版へ更新する
- ドライバー更新で不具合が出たらダウングレードも検討する
- 配信時はVRChatとOBSの負荷をGPUとCPUで分散させる
- 急なパフォーマンス低下はバックグラウンドアプリが原因の可能性がある
- タスクマネージャーでリソースを消費している不要なアプリを終了させる