VRChatをプレイしていると、ワールドや参加人数によって動作が重く感じることがありませんか。快適なVR体験のためには、安定したVRChatのFPS(フレームレート)の維持が欠かせません。
この記事では、FPSの基本的な目安や平均値から、具体的な確認方法、そして上限に至るまでを網羅的に解説します。さらに、設定を見直してFPSを上げるための具体的な手順についても詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- VRChatにおけるFPSの基本的な知識と現在値の確認方法
- 快適なプレイのために目標とすべきFPSの具体的な目安
- VRChat内やPC側でFPSを向上させるための各種設定
- 使用している機材の性能を最大限に引き出す最適化のヒント
VRChatのFPSの基礎知識と現状の把握
- VRChat内でのFPS確認方法
- FPSとPingを常時表示させるには
- 快適なプレイに必要とされるFPSの目安
- プレイヤーの平均的なFPSはどのくらい?
- VRヘッドセットによるFPSの上限
VRChat内でのFPS確認方法
VRChatをプレイする上で、現在のFPSを把握することは、パフォーマンス改善の第一歩となります。FPSとは「Frames Per Second」の略で、1秒間に画面が何回更新されるかを示す数値です。この数値が高いほど、映像は滑らかになります。
VRChat内でFPSを確認するのは非常に簡単です。
メニュー画面である「Launch Pad」を開き、画面右下にある歯車の形をした設定アイコンをクリックしてください。
設定画面が開いたら、下の方へスクロールしていくと「デバック情報」という項目が見つかります。ここに現在の「FPS」と、通信の応答速度を示す「Ping」が表示されています。
このデバック情報を確認することで「特定のワールドが重い」「人が増えるとカクつく」といった体感を、具体的な数値として客観的に捉えることができます。パフォーマンスに疑問を感じたときは、まずこの方法で現状のFPSを確認する習慣をつけると良いでしょう。
FPSとPingを常時表示させるには
一度だけでなく、プレイ中に常にFPSの変動を確認したい場合もあるかと思います。特に、新しいワールドに入った直後や、イベントで人が集まってきたタイミングなど、状況によってFPSは大きく変動するためです。
VRChatでは、FPSとPingの情報を常に画面上に表示させておく設定が可能です。
前述の通り、設定画面の「デバック情報」まで進むと「FPSとPingの表示」という切り替えスイッチがあります。このスイッチを有効にすることで、Launch Padを開いた際に、メニューの上部に常に現在のFPSとPingが表示されるようになります。
VRモードでプレイしている場合は、手元のコントローラーでLaunch Padを開くだけで、いつでも即座に数値を確認できるようになるため非常に便利です。
デスクトップモードの場合でも同様に表示されます。常時表示させておくことで、どのような状況でFPSが低下するのかを把握しやすくなり、後の設定改善に役立てることができます。
快適なプレイに必要とされるFPSの目安
どのくらいのFPSが出ていれば、VRChatを快適にプレイできるのでしょうか。目指すべきFPSの目安は、使用しているVRヘッドセットのリフレッシュレートに大きく関係します。リフレッシュレートとは、ディスプレイが1秒間に画面を更新できる回数のことで、単位はHz(ヘルツ)で表されます。
理想的なのは、VRヘッドセットのリフレッシュレートと同じ数値をFPSが維持できている状態です。例えば、リフレッシュレートが90Hzのヘッドセットを使っているなら、FPSも90を維持するのが最も滑らかな映像を得られる目標値となります。
しかし、VRChatはワールドの作りや参加人数によって負荷が大きく変動するため、常に最高値を維持するのは高性能なPCでも困難な場合があります。
そのため、現実的な目標としては、VR酔いを起こしにくいとされる60FPS以上を安定して維持することが一つの目安となります。最低でも45FPSを維持できれば、ある程度の快適性は保たれますが、これを下回ると映像のカクつきが顕著になり、VR酔いの原因にもなりかねません。
プレイヤーの平均的なFPSはどのくらい?
VRChatプレイヤー全体の平均的なFPSは、使用しているPCスペックやプレイ環境によって大きく異なるため、一概に「平均はこのくらい」と断言するのは難しいのが現状です。
ハイスペックなゲーミングPCを使用しているユーザーは、比較的軽いワールドで一人でいる場合、90FPSや120FPSといった高い数値を維持できます。一方で、ミドルスペックやエントリークラスのPCを使用しているユーザーの場合、同じ状況でも60FPS前後になることも珍しくありません。
また、重要なのは参加人数による変動です。例えば、一人でいるときには90FPS出ていたとしても、20人程度のインスタンスに行くと40~50FPSに、60人以上の大規模イベントなどでは30FPSを下回ることもあります。
多くのプレイヤーは、人の多い場所では30~50FPS程度でプレイしているのが実情だと考えられます。そのため、自分のFPSが他の人より極端に低いわけではないかと過度に心配する必要はありません。
VRヘッドセットによるFPSの上限
VRChatにおけるFPSの上限は、主にVRヘッドセットの性能、特にリフレッシュレートによって決まります。PCの性能がどれだけ高くても、基本的にはヘッドセットが表示できるリフレッシュレートを超えるFPSで映像を見ることはできません。
例えば、Meta Quest 3やQuest 2は最大で120Hz、Pico 4は最大90Hzのリフレッシュレートに対応しています。したがって、Quest 3を使用している場合、FPSの上限は120FPSとなり、それ以上のFPSが出ても体感上の滑らかさは変わりません。
VRChatやSteamVRの設定で、意図的にFPSの上限を固定することも可能です。
設定画面の「グラフィックス」タブを開き「FPSの上限」のスライダーを動かして上限を固定することができます。
これは、PCスペックに余裕がある場合に、不必要に高いFPSを出すことによる無駄な発熱や消費電力を抑えるために利用されます。
通常、VRモードではヘッドセットのリフレッシュレートが実質的な上限となるため、この設定を意識することはあまりありませんが、デスクトップモードでプレイする際には、モニターのリフレッシュレートに合わせて上限を設定すると、PCへの負荷を軽減できる場合があります。
VRChatのFPSを安定させるための改善策
- FPSを効率的に上げるためのポイント
- VRChat内のグラフィック設定を見直す
- PCの電源オプション設定の最適化
- GPUのパフォーマンスを優先する設定
- SteamVRのレンダリング解調度設定
- 最適な設定でVRChat FPSを向上させよう
FPSを効率的に上げるためのポイント
VRChatのFPSを効率的に上げるためには、やみくもに設定を変更するのではなく、ボトルネック(性能の足を引っ張っている原因)がどこにあるかを意識することが大切です。FPSが低下する主な原因は「GPU(グラフィックボード)の性能不足」と「CPUの性能不足」の2つに大別されます。
景観が美しいワールドや、高解像度のテクスチャを多用したアバターが多い場面では、GPUへの負荷が高くなります。このような状況でFPSが落ちる場合は、グラフィック関連の設定を見直すことが効果的です。
一方、アバターの表示人数が多い場面や、物理演算が多用されているワールドでは、CPUへの負荷が増大します。特に大人数のインスタンスではCPUがボトルネックになりがちです。この場合は、アバターの表示設定を変更したり、CPUの性能を最大限に引き出すPC設定を行ったりすることが有効です。
このように、GPUとCPUのどちらに負荷がかかっているかを考えながら、適切な対策を講じることが、FPSを効率的に向上させるための鍵となります。
VRChat内のグラフィック設定を見直す
FPSを改善する上で、最も手軽で効果が高いのがVRChat内のグラフィック設定の見直しです。設定メニューの「グラフィックス」タブから、様々な項目を調整できます。
グラフィック品質プリセットの調整
最も簡単な方法は「品質のプリセット」のスライダーを調整することです。これは複数のグラフィック設定をまとめたプリセットで「高」から「低」に下げるだけで、全体の負荷が軽減され、FPSが向上します。
まずは一段階下げてみて、どれくらいFPSが改善するかを確認してみるのが良いでしょう。
個別設定の調整
より細かく調整したい場合は、個別の項目を見直します。特にFPSへの影響が大きいのは以下の項目です。
設定項目 | 内容と推奨設定 |
アンチエイリアシング | オブジェクトの輪郭を滑らかにする処理。負荷が非常に高いため、FPSを優先するなら「Off」または「2x」を推奨します。 |
影 | 影の描画品質。影は負荷が高いため「Low」や「Medium」に設定するとFPSが改善しやすいです。 |
細かさの度合い(LOD) | 遠くのオブジェクトの表示を簡略化する度合い。Lowにすると遠景が簡素になりますが、負荷は下がります。 |
パーティクルの 物理演算の品質 |
パーティクル(光の粒など)の物理演算の品質。負荷が高くなりがちなので「Low」を推奨します。 |
これらの設定を一段階下げるだけでも、体感できるほどFPSが向上することがあります。画質とのバランスを見ながら、自分の環境に合った設定を探してみてください。
PCの電源オプション設定の最適化
PCのOS(Windows)側にも、パフォーマンスに影響を与える設定があります。それが「電源オプション」です。
デフォルトでは、消費電力とパフォーマンスのバランスを取る「バランス」設定になっていることが多いですが、これをパフォーマンス優先に変更することで、CPUなどの性能を最大限に引き出すことができます。
設定方法は以下の通りです。
-
コントロールパネルを開きます。
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「システムとセキュリティ」をクリックし、次に「電源オプション」を選択します。
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「高パフォーマンス」または「究極のパフォーマンス」というプランがあれば、それを選択します。
この設定を行うと、PCが常に最高のパフォーマンスを発揮しようとするため、消費電力や発熱は増加する可能性があります。特にノートPCでプレイしている場合はバッテリーの消耗が早くなるため注意が必要ですが、デスクトップPCであれば、FPSの安定化に繋がりやすい有効な手段です。
GPUのパフォーマンスを優先する設定
グラフィックボード(GPU)のドライバー設定を見直すことも、FPS向上に繋がります。ここでは、多くのPCで採用されているNVIDIA製のGPUを例に説明します。
NVIDIAコントロールパネルを開き「3D設定の管理」を選択します。ここで「グローバル設定」タブにある「電源管理モード」という項目を探してください。
この設定は、デフォルトでは「標準」や「最適電力」になっていることが多いですが「パフォーマンス最大化を優先」に変更します。
この設定は、GPUが常に高いクロック周波数で動作しようとするため、VRChatのような高い負荷が断続的にかかるアプリケーションでのパフォーマンスが安定しやすくなります。
OSの電源設定と同様に、消費電力は増加する傾向にありますが、FPSの底上げや安定化には効果が期待できます。他の設定項目として「低遅延モード」を「ウルトラ」に「テクスチャフィルタリング-クオリティ」を「ハイパフォーマンス」に設定することも、パフォーマンス向上に寄与する場合があります。
SteamVRのレンダリング解像度設定
PCにVRヘッドセットを接続してVRChatをプレイする場合、多くの人がSteamVRというプラットフォームを経由します。このSteamVRにも、FPSに大きく影響する設定項目があります。
SteamVRの設定画面を開き「動画」または「グラフィックス」タブを選択すると、「レンダリング解像度」という項目があります。これは、VRヘッドセットに表示される映像をどれだけ高精細に描画するかという設定です。
この解像度設定は、デフォルトでは「自動」になっており、PCのスペックに応じてSteamVRが自動で調整してくれます。しかし、FPSが安定しない場合は、この設定を「カスタム」に切り替え、スライダーを少し下げてみる(例:100% → 90%)ことで、GPUの負荷を直接的に軽減し、FPSを向上させることができます。
下げすぎると映像がぼやけて見えるようになるため、画質とパフォーマンスのバランスが取れるポイントを探すことが大切です。また、同じ設定画面内にある「SteamVRホーム」は、不要であればオフにしておくと、その分PCのリソースをVRChatに集中させることができます。
最適な設定でVRChat FPSを向上させよう
- VRChatのFPSはLaunch Padの設定から確認できる
- プレイ中はFPSとPingを常時表示させておくと状況把握に便利
- 快適なプレイのFPS目安は最低でも45、理想は60以上
- FPSの上限は使用するVRヘッドセットのリフレッシュレートに依存する
- FPS低下の原因は主にGPU負荷とCPU負荷の2種類
- 最も手軽な改善策はVRChat内のグラフィック設定の見直し
- アンチエイリアシング(MSAA)はオフにするだけでも効果が高い
- 影やパーティクルの品質を下げることもFPS向上に有効
- Windowsの電源オプションを「高パフォーマンス」に設定する
- NVIDIAコントロールパネルで電源管理モードを「パフォーマンス最大化を優先」にする
- SteamVRのレンダリング解像度を少し下げるとGPU負荷が軽減される
- 不要であればSteamVRホームはオフにしておくことを推奨
- 設定変更は画質とパフォーマンスのバランスを見ながら行うことが大切
- 自分のPC環境に合った最適な設定を見つけることが快適なVR体験に繋がる
- 定期的に設定を見直し、VRChatのアップデートに対応していくことが望ましい