VRChatでアバターがロボットになるという経験はありませんか。この現象は特に初心者の方が直面しやすい失敗の一つで、原因が分からないままだと後悔にもつながりかねません。
しかし、どうぞご安心ください。この問題の多くは、原因と対処法を知ることで解決できます。
この記事では、VRChatで自分のアバターや他人のアバターがロボットとして表示されてしまう問題について、その原因から具体的な解決策までを網羅的に解説していきます。
- アバターがロボットフォームになる様々な原因
- VRChat内で完結する簡単な設定変更による対処法
- Unityを使ったアバターの根本的な修正方法
- 今後のアバター選びやアップロードで失敗しないための知識
VRChatでアバターがロボットになる原因を解説
- 表示されるロボットアバターとは?
- パフォーマンスランクによるアバター制限
- Quest対応していないアバターの表示
- Security Checkに起因する問題
- アバター破損によるエラーアバターの発生
表示されるロボットアバターとは?
VRChat内で見かける灰色のロボットアバターは、通称「フォールバックアバター」と呼ばれるものです。これは、何らかの理由で本来のアバターを表示できない場合に、代わりに表示される代替アバターを指します。
つまり、ロボットが表示されている状態は、アバターの読み込みに失敗した、あるいはVRChatのシステムによって意図的に表示が制限されているサインと考えることができます。
この現象は、自分のアバターだけでなく、他のユーザーのアバターに対しても発生します。原因は多岐にわたりますが、主にVRChatのパフォーマンス保護機能や、アバター自体の技術的な問題に起因することが多いです。次の項目から、具体的な原因を一つずつ詳しく見ていきましょう。
パフォーマンスランクによるアバター制限
VRChatには、アバターのデータ量や処理負荷を示す「パフォーマンスランク」という指標が存在します。これは、Excellent(緑)からVery Poor(赤)までの段階で評価され、アバターがワールドや他のプレイヤーに与える負荷の目安となります。

このランクが「Poor」や「Very Poor」など、基準よりも低いアバターは、他のユーザーの環境でパフォーマンスを低下させる可能性があります。そのため、VRChatのセーフティ設定によっては、負荷の高いアバターが自動的に非表示にされ、代わりにロボットアバターが表示される仕組みになっています。
パフォーマンスランクの主な評価基準
アバターのランクは、主に以下の要素によって総合的に決定されます。
評価項目 | 内容 | ランクへの影響 |
ポリゴン数 | アバターを構成する多角形の数 | 多いほど負荷が高く、ランクが低下しやすい |
マテリアル数 | アバターに使用されている材質設定の数 | 多いほど描画負荷が増え、ランクが低下しやすい |
PhysBonesコンポーネント数 | 髪や服などを揺らす物理演算の要素数 | 多いほどCPU負荷が増大し、ランクに影響する |
ダウンロードサイズ | アバター全体のファイルサイズ | 大きいと読み込みに時間がかかり、評価に影響する |
これらの基準はプラットフォーム(PC版かQuest版か)によっても異なります。特にQuest版はハードウェアの制約から、PC版よりもはるかに厳しい基準が設けられている点に注意が必要です。
自分のアバターが他の人からロボットに見える場合、このパフォーマンスランクが原因である可能性が考えられます。
Quest対応していないアバターの表示
VRChatはPC(Windows)で楽しむPC版と、Meta QuestシリーズなどのスタンドアロンVRヘッドセットで楽しむQuest版が存在します。この二つのプラットフォームには互換性がなく、アバターもそれぞれに対応したものを用意する必要があります。
PC版専用に制作されたアバターは、Quest版の環境では基本的に表示できません。そのため、QuestユーザーがPC版専用アバターを使用しているユーザーを見ると、アバターは表示されずにロボットの姿になってしまいます。
これは、アバターの制作者がQuest版のデータを用意していない場合に発生する、ごく一般的な現象です。
逆に、PCユーザーがQuest対応アバターを見ることは可能ですが、Quest版はパフォーマンスの制約からグラフィック品質が簡略化されているため、PC版アバターに比べて見た目が劣ることがあります。
アバターを購入またはダウンロードする際は、自分がプレイしている環境(PCかQuestか)に対応しているかを必ず確認することが大切です。
Security Checkに起因する問題
近年、VRChatではプラットフォームの安定性とセキュリティを向上させるため「Security Check」という仕組みが導入されました。
特定のセキュリティ関連の自動テストをパスしないアバターや、異常に重いアバターは読み込みに失敗し、エラーメッセージ “Security Checks Failed” が表示されます。
新しいシステムので、誤検知が発生することがあります。影響を受けていると思われる場合は、VRChatサポートにお問い合わせください。— VRChat 日本語公式 (@VRChat_JP) December 8, 2023
これは、アバターやワールドがアップロードされる際に、VRChatの定める基準を満たしているかを自動で検証するシステムです。
このチェックに引っかかったアバターは、VRChat内で正常に表示されず、エラーアバター(読み込み中の水色アイコンのまま固まる、またはロボットになる)として扱われることがあります。
特に、テクスチャの圧縮形式やファイルサイズがVRChatの基準に適合していない場合に、この問題が発生しやすくなっています。
2023年以降、段階的にこのチェックは厳格化されており、古いバージョンのSDK(ソフトウェア開発キット)やUnityでアップロードしたアバターが、ある日突然表示されなくなるケースも報告されています。
このように、VRChat側のシステムアップデートが原因でアバターが表示されなくなる可能性も考慮に入れる必要があります。
アバター破損によるエラーアバターの発生
アバターがロボットになる原因は、VRChatのシステム側だけでなく、アバターのデータ自体に問題がある場合も考えられます。
これは「破損アバター」とも呼ばれ、自分からは正常に見えていても、他のユーザーからはエラーアバターとして表示されているケースも含まれます。
主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
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シェーダーの導入漏れ: アバターが使用している特定のシェーダー(アバターの見た目を制御するプログラム)が、自分のプロジェクトに正しくインポートされていない場合、アバターはピンク色になったり、正常に表示されなくなります。
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Unityでの設定ミス: アバターのアップロード時に、Unity側のビルド設定やコンポーネントの設定に誤りがあると、データが破損して正常に読み込めなくなることがあります。
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ギミックの不具合: アバターに組み込まれた複雑なギミックやアニメーションが、VRChatの仕様と競合し、無限ロードや表示エラーを引き起こすことも少なくありません。
これらの問題は、一時的な不具合であればアバターを再読み込みすることで解決することもありますが、根本的な解決にはUnityでの修正作業が必要となります。
VRChatでアバターがロボットになる時の解決策
- VRChat内のセーフティ設定を見直す
- アバターの表示を個別に許可する方法
- Unityでのアバター修正が必要な場合
- アバターのテクスチャ容量を削減する
VRChat内のセーフティ設定を見直す
他人のアバターがロボットとして表示される場合、最も簡単で一般的な解決策は、VRChat内のセーフティ設定を変更することです。この設定は、パフォーマンスの低いアバターや特定のユーザーからのコンテンツを制限し、快適なプレイ環境を保つために用意されています。
①設定を変更するには、Launch Padを開いて「シールドレベルを変更」を選択します。
②シールドレベルが「最大」や「ノーマル」などに設定されていると、パフォーマンスランクが低いアバターは自動的にブロックされ、ロボットとして表示されます。これを「なし」にすることで、より多くのアバターが表示されるようになります。
アバターの表示を個別に許可する方法
セーフティ設定を全体的に変更したくない場合や、特定の人だけのアバターを見たい場合には、ユーザーごとにアバターの表示を個別に許可する方法が有効です。
ロボットとして表示されているユーザーを選択すると、そのユーザーに対するメニューが開きます。メニューの中に「Show Avatar」というボタンがあれば、それをクリックすることで、そのユーザーのアバターが強制的に表示されるようになります。
この操作は、セーフティ設定でブロックされているアバターを一時的に表示させるためのものです。一度許可すれば、そのセッション中はアバターが表示され続けます。
ただし、VRChatを再起動したり、別のワールドに移動したりすると、設定がリセットされる場合があるため、その際は再度同じ操作を行う必要があります。
この方法は、友人や特定のアバターだけを確実に見たい場合に非常に便利です。逆に、一度表示したアバターを再び非表示にしたい場合は、同じメニューから「Hide Avatar」を選択します。
Unityでのアバター修正が必要な場合
前述の通り、VRChat内の設定変更だけでは解決せず、Unityでの作業が必要になるケースも存在します。これは主に、自分のアバターが他の人からロボットに見える場合や、特定のアバターをアップロードすると必ずエラーが発生する場合に該当します。
Unityでの修正が必要になる代表的な例は以下の通りです。
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視点のズレ: アバターをアップロードした後、自分の視界が地面に埋まったり、アバターの体内にめり込んだりする現象です。これは、UnityのInspector上にある「View Position」が不適切な位置に設定されていることが原因であり、正しい目の位置に調整することで解決します。
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オブジェクトの一部消失: アバターの特定の部分(例:靴やアクセサリー)が、視界の端に移動すると消えてしまう現象です。これは、Unityの「Skinned Mesh Renderer」コンポーネント内にある「Bounds」という描画範囲の設定が小さすぎることが原因です。この範囲をオブジェクト全体が収まるように拡大することで修正できます。
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データ破損: シェーダーの入れ忘れや設定ミスが原因でアバターが正常に表示されない場合は、Unityプロジェクトに戻り、必要なファイルが全て揃っているか、設定に誤りがないかを確認し、再度アップロードし直す必要があります。
これらの修正作業は、アバター改変の基本的な知識を要しますが、多くの問題は原因さえ分かれば対処が可能です。
アバターのテクスチャ容量を削減する
アバターがSecurity Checkに引っかかってエラーになる主な原因は、テクスチャのファイルサイズが大きすぎることです。特にQuest対応アバターを制作する際には、このテクスチャ容量の管理が非常に大切になります。
Unityでテクスチャ容量を削減する最も一般的な方法は、テクスチャファイルのインポート設定で「Max Size」(最大サイズ)の値を小さくすることです。例えば、4096×4096(4K)のテクスチャを2048×2048(2K)や1024×1024(1K)に変更するだけで、ファイルサイズを大幅に削減できます。
手順の概要
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Unityのプロジェクトウィンドウで、容量を削減したいテクスチャファイルを選択します。
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Inspectorウィンドウに表示されるインポート設定の中から「Max Size」の項目を探します。
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ドロップダウンメニューから、現在よりも小さい数値(例:4096 → 2048)を選択します。
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最後に「Apply」ボタンをクリックして変更を適用します。
この作業をアバターに使用されている全ての主要なテクスチャに対して行うことで、アバター全体のダウンロードサイズを効果的に減らすことができます。
どの程度サイズを小さくするかは、アバターの見た目の品質とパフォーマンスのバランスを考慮して決定します。見た目をあまり損なわずに容量を削減することが、最適化の鍵となります。
VRChatでアバターがロボットになる問題まとめ
この記事で解説した、VRChatでアバターがロボットになる問題の要点を以下にまとめます。
- ロボットアバターは本来のアバターを表示できない時の代替表示
- 原因はVRChatのシステム側とアバター側の両方に考えられる
- 原因の一つはアバターのパフォーマンスランクの低さ
- セーフティ設定でパフォーマンスの低いアバターは自動で非表示になる
- PC版とQuest版でアバターの互換性がないことも原因
- QuestユーザーはPC専用アバターをロボットとして認識する
- VRChatのSecurity Checkに引っかかるとエラーになる
- テクスチャ容量が大きすぎるとチェックで弾かれる可能性がある
- アバターデータ自体の破損や設定ミスも原因となり得る
- 他人のアバターが見えない時はまずセーフティ設定を確認
- 設定を緩和すれば多くのアバターが表示されるが動作が重くなるリスクもある
- 「Show Avatar」機能で特定のアバターを個別に表示させることが可能
- 自分のアバターの問題はUnityでの修正が必要な場合がある
- Unityでテクスチャの最大サイズを小さくして容量を削減する
- アバターの導入方法やシェーダーが正しいかを確認する