VRChatが最近重い、アバターの表示に時間がかかる、といった悩みはありませんか。これらの問題は、PC内に溜まったVRChatのキャッシュが原因かもしれません。
この記事では、そもそもVRChatのキャッシュとは何か、そしてキャッシュを削除しほうがいいのか、削除するとデータは一体どうなるのか、といった基本的な疑問にお答えします。
さらに、キャッシュが保存されている場所の確認方法から、Cドライブの容量を節約するための場所の変更手順、ストレージに応じた容量上限の設定方法まで、網羅的に解説していきます。
- VRChatの動作が重くなる原因とキャッシュの関係性
- PCの空き容量を確保する安全なキャッシュの削除手順
- キャッシュの保存場所を他のドライブに変更する方法
- キャッシュ容量の上限を設定してストレージを管理する知識
VRChatのキャッシュの基本と削除方法
- VRChatのキャッシュとは
- キャッシュを削除しほうがいいケース
- 削除するとアカウントはどうなる?
- VRChat内で削除する方法
- PCフォルダから削除する方法
VRChatのキャッシュとは
VRChatにおけるキャッシュとは、一度訪れたワールドや表示したアバターのデータを、お使いのパソコン内に一時的に保存しておく仕組みのことです。
この仕組みがあるおかげで、二回目以降に同じワールドやアバターに遭遇した際、インターネットから再度データをダウンロードすることなく、保存されたデータを読み込むだけでよくなります。
なぜなら、PC内のストレージからデータを読み込む方が、インターネット経由でダウンロードするよりもはるかに高速だからです。
このように、キャッシュはVRChatの体験をスムーズにし、ロード時間を短縮するために非常に重要な役割を果たしています。言ってしまえば、快適なVRChatライフのための「近道データ」のようなものです。
ただし、このキャッシュデータは便利な一方で、VRChatをプレイすればするほど蓄積されていきます。様々なワールドを巡り、たくさんのユーザーと交流するうちに、キャッシュは数十ギガバイト(GB)という大きなサイズに膨れ上がり、PCのストレージ容量を圧迫する原因になることがあります。
キャッシュを削除しほうがいいケース
キャッシュの削除を検討した方が良いのは、VRChatの動作に何らかの不具合を感じ始めたときです。具体的には、以下のような状況が挙げられます。
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重いとき
全体的に動作が重く感じたり、ワールドやアバターの読み込みが以前より明らかに遅くなったりした場合です。これは、キャッシュデータが古くなったり、断片化したりすることで、かえって読み込みの妨げになっている可能性が考えられます。
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ログインできないとき
VRChatに正常にログインできない、または特定のワールドに入ろうとするとアプリケーションが強制終了してしまう場合も、キャッシュの破損が原因であることがあります。ログイン情報やワールドデータの一部が壊れた状態で保存されていると、正常な処理を妨げてしまうのです。
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アップロードできないとき
新しくアップロードされたはずのアバターやワールドの更新が正しく反映されず、表示がおかしくなるケースも考えられます。古いキャッシュデータが優先的に読み込まれてしまい、最新の状態が表示されないというトラブルです。
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PCの容量が不足してきたとき
単純にPCのストレージ容量が不足してきた場合も、キャッシュ削除は有効な手段となります。VRChatのキャッシュは気づかぬうちに大容量になっていることが多いため、削除することでまとまった空き容量を確保できます。
VRChatのアップデート後に問題が発生した場合も、古いキャッシュとの互換性が原因の可能性があるため、一度削除を試す価値はあります。
削除するとアカウントはどうなる?
キャッシュを削除することに対して「フレンドリストや購入したアバターなどの大切なデータまで消えてしまうのではないか」と心配になるかもしれません。しかし、その心配は不要です。
結論から言うと、VRChatのキャッシュを削除しても、あなたのアカウント情報が失われることは一切ありません。
フレンドリスト、アップロードしたアバターやワールド、お気に入り登録、そしてBOOTHなどで購入したアイテムの情報などは、VRChatのサーバー上に安全に保管されています。
これらのデータは、お使いのPC内ではなく、クラウド上に存在するため、ローカルのキャッシュファイルを削除しても何の影響も受けないのです。
キャッシュ削除によって消去されるのは、あくまで一時的に保存されたワールドやアバターのデータのみです。そのため、安心して削除作業を行うことができます。
ただ、注意点が一つだけあります。
キャッシュを削除した後は、一度訪れたワールドや表示したことのあるアバターでも、再度データをインターネットからダウンロードし直す必要があります。
そのため、キャッシュ削除後の初回ログイン時やワールド移動時には、一時的に読み込み時間が通常より長くなることを覚えておきましょう。これは一度きりのことで、再びキャッシュが生成されれば、読み込み速度は元に戻ります。
VRChat内で削除する方法
最も安全で簡単なキャッシュの削除方法は、VRChat内から行うものです。VRChatにログインできる状態であれば、こちらの方法を強く推奨します。手順は非常にシンプルです。
①Launch Pad(起動時のメニュー)を開き、歯車のアイコンで表示される「Settings」を選択します。
②メインメニューを選択します。
③左メニューの「デバッグ情報」を選択して「コンテンツのキャッシュを削除」というボタンを選択します。
④「本当にキャッシュを削除しますか?」という内容の確認ウィンドウが表示されるので「はい」を選択します。処理には少し時間がかかる場合があります。
処理が完了すると、キャッシュが削除された旨のメッセージが表示されます。これで作業は完了です。VRChatを再起動すると、変更が完全に適用されます。
この方法であれば、誤って重要なファイルを削除してしまう心配がなく、誰でも安全にキャッシュを整理することが可能です。
PCフォルダから削除する方法
VRChatにログインできない、あるいはクライアントが起動しないといった問題が発生している場合は、ゲーム内の機能を使うことができません。このような状況では、PCのフォルダから直接キャッシュファイルを手動で削除する必要があります。
キャッシュフォルダの場所
VRChatのキャッシュデータは、デフォルトで以下の場所に保存されています。
C:\Users\[ユーザー名]\AppData\LocalLow\VRChat\vrchat
このパスの [ユーザー名] の部分を、ご自身のWindowsのユーザー名に置き換えてください。
また、AppDataフォルダは通常、隠しフォルダに設定されています。エクスプローラーのアドレスバーに直接パスをコピー&ペーストするのが最も簡単なアクセス方法です。以下の文字列をコピーして、エクスプローラーのアドレスバーに貼り付けてEnterキーを押すと、直接フォルダに移動できます。
%AppData%\..\LocalLow\VRChat\vrchat
削除対象のフォルダ
移動先のフォルダの中には、様々なファイルやフォルダが存在します。キャッシュを削除するには、以下のフォルダを削除してください。
削除対象フォルダ名 | 主な内容 |
Cookies | Cookie情報 |
HTTPCache | Webコンテンツのキャッシュ |
Unity | Unityエンジン関連の一時ファイル |
VRCHTTPCache | VRChat独自のHTTPキャッシュ |
HTTPCache-WindowsPlayer | Windowsプレイヤー用のHTTPキャッシュ |
Cache-WindowsPlayer | Windowsプレイヤー用の汎用キャッシュ |
これらのフォルダを選択し、削除(ゴミ箱に入れる)します。
手動削除の注意点
手動で削除する際には、絶対に削除してはいけないファイルがあります。
特に、config.json(設定ファイル)やoutput_log.txt(ログファイル)などは、トラブルシューティングに必要な場合があるため、触らないようにしましょう。
前述の表に記載されているフォルダのみを削除対象とすることで、安全にキャッシュをクリーンアップできます。
VRChatのキャッシュの場所と容量管理
- キャッシュの保存場所 変更のやり方
- キャッシュ容量の上限とデフォルト値
- config.jsonでサイズを変更
- 最適なVRChatのキャッシュとの付き合い方
キャッシュの保存場所 変更のやり方
VRChatを熱心にプレイしていると、キャッシュデータが数十GBに達し、OSがインストールされているCドライブの空き容量を圧迫することがあります。
このような場合、キャッシュの保存場所を、より容量の大きいDドライブなどの別ドライブに移すことが有効な対策となります。
現在、推奨されている方法はconfig.jsonという設定ファイルを編集する方法です。これはVRChatが公式にサポートしている機能であり、安全かつ確実です。
config.jsonによる場所の変更手順
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VRChatのキャッシュフォルダを開く
エクスプローラーのアドレスバーに %AppData%\..\LocalLow\VRChat\vrchat と入力して、設定ファイルがあるフォルダへ移動します。
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config.jsonファイルを作成または編集する
フォルダ内にconfig.jsonというファイルがあれば、それをメモ帳などのテキストエディタで開きます。もしファイルがなければ、右クリックから「新規作成」→「テキスト ドキュメント」を選び、ファイル名をconfig.jsonとして新しく作成します。
-
設定を記述する
config.jsonファイルに、以下の内容を記述します。中括弧 {} も含めてコピーしてください。保存先のパスは、ご自身の環境に合わせて変更してください。
JSON{ "cache_directory": "D:\\VRChat_Cache" }
この例では、Dドライブ直下に
VRChat_Cache
というフォルダを作成し、そこを新しい保存場所に指定しています。注意点として、パスの区切り文字であるバックスラッシュ\
は、2つ重ねて\\
と記述する必要があります。 -
既存のキャッシュを移動する(任意)
設定を保存した後、元の場所 (C:\…) にあるキャッシュフォルダ群(HTTPCacheなど)を、新しく指定した場所(例:D:\VRChat_Cache)に移動させると、これまでのキャッシュを引き継ぐことができます。移動しない場合は、次回のVRChat起動時から新しい場所にキャッシュがゼロから作られていきます。
この設定を行った後にVRChatを起動すれば、キャッシュは新しい場所に保存されるようになります。
キャッシュ容量の上限とデフォルト値
VRChatは、キャッシュデータが無限に増え続けないように、保存容量に上限を設けています。この上限のデフォルト値は、現在30GBに設定されています(参照:https://docs.vrchat.com/docs/configuration-file#cache-settings)
この上限値は、多くのユーザーにとってバランスの取れた設定と言えます。30GBあれば、頻繁に訪れるワールドやよく会うフレンドのアバター情報を十分に保存しておくことができ、快適なロード速度を維持できます。
しかし、この上限値はユーザーの環境によって最適とは限りません。
例えば、大容量のSSDやHDDを搭載しており、ストレージに余裕がある場合、上限を大きくすることでより多くのキャッシュを保持できます。これにより、様々なワールドを訪れてもキャッシュが上書きされにくくなり、キャッシュヒット率が向上し、全体的なロード時間の短縮が期待できます。
逆に、PCのストレージ容量が少ない場合は、上限をデフォルトの30GBより小さく設定することも有効です。これにより、VRChatが使用するディスク領域を制限し、他のアプリケーションのための空き容量を確保することが可能となります。
ただし、上限を小さくしすぎると、キャッシュの入れ替わりが激しくなり、同じワールドでも再ダウンロードが頻繁に発生してロード時間が長くなる可能性があるため、注意が必要です。
このように、キャッシュ容量の上限は、ご自身のPCのストレージ容量と、VRChatをどれだけ快適にプレイしたいかのバランスを考えて調整することが大切です。
config.jsonでサイズを変更
キャッシュ容量の上限値は、前述の「場所の変更」でも使用したconfig.jsonファイルを編集することで、任意の値に変更できます。デフォルトの30GBから、ご自身の環境に合わせてカスタマイズしましょう。
手順は場所の変更とほとんど同じです。
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config.jsonファイルを開く
エクスプローラーで %AppData%\..\LocalLow\VRChat\vrchat に移動し、config.jsonファイルをテキストエディタで開きます。ファイルがなければ新規に作成します。
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キャッシュサイズの設定を記述する
ファイル内に、以下の形式で設定を記述します。cache_sizeの値を、あなたが設定したい容量(GB単位)に変更してください。
JSON{ "cache_size": 50 }
この例では、キャッシュの上限を50GBに設定しています。
もし、すでに場所の変更設定 (
cache_directory
) が記述されている場合は、カンマ,
で区切って追記します。JSON{ "cache_directory": "D:\\VRChat_Cache", "cache_size": 50 }
-
ファイルを保存してVRChatを再起動する
config.jsonファイルを上書き保存します。すでにVRChatが起動している場合は、一度完全に終了させてから再起動してください。これにより、新しい設定が読み込まれ、指定した容量の上限が適用されます。
この設定を行うことで、ストレージの空き容量を有効に活用したり、逆にVRChatによるディスク使用量を抑えたりと、より柔軟な管理が可能になります。
最適なVRChatのキャッシュとの付き合い方
この記事で解説したVRChatのキャッシュに関する知識をまとめます。以下のポイントを理解し、快適なVRChatライフを送りましょう。
- キャッシュはワールドやアバターデータを一時保存する仕組み
- キャッシュのおかげで2回目以降のロード時間が短縮される
- VRChatをプレイするほどキャッシュは自動的に蓄積されていく
- 動作が重い、表示がおかしいといった不具合はキャッシュが原因の可能性がある
- PCのストレージ容量不足を解消するために削除も有効
- キャッシュを削除してもアカウント情報、フレンド、アバターは消えない
- 最も安全な削除方法はゲーム内設定の「Advanced Settings」から行う
- ログインできない場合はPCのフォルダから手動で削除する必要がある
- キャッシュのデフォルト場所は隠しフォルダ
AppData
内にある - Cドライブの容量を節約したい場合は保存場所の変更を検討する
- 現在推奨される場所変更の方法は
config.json
ファイルにパスを記述すること - キャッシュ容量のデフォルト上限は30GBに設定されている
config.json
で容量上限を任意の値に変更できる- ストレージに余裕があれば上限を増やし、なければ減らすと良い
- 設定変更後はVRChatの再起動を忘れないようにする