VRChatを始めたばかりの方や、アバター改変に挑戦中の方が直面する大きな壁の一つが、アバターの容量問題です。VRChatのアバター容量の目安が分からず、気づけばアップロードに失敗したり、イベントでアバターが表示されなかったりといった経験はありませんか。
この記事では、アバター容量の確認方法から、平均的なサイズ、そしてパフォーマンスランクとの関係性までを網羅的に解説します。さらに、Unityでテクスチャを調整する方法や、便利な軽量化ツールを使った具体的な手順を紹介し、アバターの容量を効率的に減らすための知識を提供します。
- VRChatにおけるアバター容量の具体的な上限値や確認手順
- パフォーマンスランクの基準と容量が与える影響
- Unityや専用ツールを使ったアバター軽量化の具体的な方法
- イベント参加時にアバターを最適化しておくことの重要性
VRChatアバター容量の目安と基本知識
- アバター容量の確認方法
- みんなのアバター容量の平均は?
- パフォーマンスランクとの関係性
- アバターアップロードの容量制限
- イベント参加時に容量が重要な理由
アバター容量の確認方法
VRChatアバターの容量を確認するには、主に2つの方法が存在します。一つはVRChat内で行う方法、もう一つはアップロード前にUnity上で確認する方法です。どちらも手軽に確認できるため、状況に応じて使い分けることが可能です。
①VRChat内での確認手順
ゲーム内のメニューから「アバター」を選択し、確認したいアップロード済みのアバターを選び「アバターの詳細を見る」をクリックすると、パフォーマンスの内訳が表示されます。

この画面にある「ダウンロードサイズ」が圧縮されたダウンロードサイズ「テクスチャメモリー」がテクスチャが使用するメモリ量を示しており、ここで具体的な数値を確認できます。
②Unityエディタ上での確認方法
アバターをアップロードするVRChat SDKのコントロールパネルに、ビルド(Build & Publish)を実行した際の情報が表示されます。ビルド後のレポートには、ファイルサイズやテクスチャメモリ使用量などが含まれており、アップロード前に容量を把握することが可能です。
特に、アバター改変中はUnity上でこまめに確認する習慣をつけることで、容量オーバーを未然に防ぐことにつながります。
みんなのアバター容量の平均は?
他のユーザーがどれくらいの容量のアバターを使用しているのか、その平均値は気になるポイントだと考えられます。過去の調査データを見ると、多くのユーザーが比較的軽量なアバターを使用している傾向が見られました。
ある調査では、計測されたアバター全体の約75%が10MB以下に収まっていたという結果があります。また、10MBから20MBのアバターが17%程度となっており、合わせると9割以上のユーザーが20MB以下の容量でVRChatを楽しんでいることが分かります(参照:アバター600体の容量を調べてみた【VRChat】|Bran)
一方で、50MBや100MBを超える非常に大きな容量のアバターも存在しますが、その割合は少数派です。
ただし、このデータは少し前のものであり、近年は高精細なテクスチャや複雑なギミックを持つアバター、衣装が増加傾向にあります。そのため、現在ではアバターの平均容量は以前よりも増加している可能性があります。
とはいえ、多くの人が集まるパブリックインスタンスでは、他者への配慮から10MBから30MB程度の範囲内に収めるのが一つの目安と言えるかもしれません。
パフォーマンスランクとの関係性

アバターの容量は「パフォーマンスランク」と密接に関係しています。パフォーマンスランクとは、アバターが他のユーザーのPCに与える負荷の度合いをExcellent(最高)からVery Poor(最低)までの段階で評価する指標です。容量が大きければ大きいほど、このランクは低下しやすくなります。
VRChatでは、安全性と快適性を保つために、設定によって特定のランク以上のアバターを非表示にする機能があります。例えば、多くの人が集まるイベントでは「Poorランク以下のアバターは非表示」といったローカルルールが設けられることも少なくありません。
自分のアバターが重い(Very Poorなど)場合、他の人からはデフォルトのロボットアバター(フォールバックアバター)に見えてしまう可能性が高まります。
パフォーマンスランクは、ダウンロードサイズだけでなく、ポリゴン数、使用マテリアル数、PhysBoneコンポーネント数など、複数の要素から総合的に決定されます。したがって、ただ容量を減らすだけでなく、これらの各項目を基準値以下に抑えることが、ランクを改善する上での鍵となります。
パフォーマンスランクの基準(PC版)
アバターのパフォーマンスランクを改善するためには、以下の基準を意識することが大切です。特にMediumランクを目指すことで、多くの環境で表示されやすくなります。
参照:Performance Ranks | VRChat Creation
※この数値はVRChatのアップデートにより変更される可能性があります。
アバターアップロードの容量制限
VRChatにはアバターのアップロードに厳格な容量制限が設けられています。2024年7月16日のアップデート以降、PC版アバターの容量上限は圧縮サイズで200MB、非圧縮サイズ(メモリ使用量)で500MBに設定されました。
(PCのみ) 2024年7月16日にリリース予定のアップデートにて、アバターの最大ファイルサイズ制限が変更されます。超える場合は、使い続くために対応する必要があることをご理解ください。
ダウンロードサイズ制限(圧縮):現在500MB、計画200MB。
非圧縮サイズ制限:現在1.2GB、計画500MB。 pic.twitter.com/5VBF5UjXXL— VRChat 日本語公式 (@VRChat_JP) May 30, 2024
この制限を超過したアバターは、そもそもアップロードができないか、できたとしてもVRChat内で正常に読み込まれない可能性があります。
自分のアバターが表示されないだけでなく、インスタンスに参加している他のユーザーにも影響を与えます。重いアバターを読み込もうとすると、他のユーザーのPCに高い負荷がかかり、フレームレートの低下や、最悪の場合クライアントのクラッシュを引き起こす原因となり得ます。
また、アバターの読み込み自体に長い時間がかかるため、コミュニケーションの機会を逃してしまうことも考えられます。せっかく素敵な改変を施したアバターも、相手に見てもらえなければ意味がありません。
これらの理由から、定められた容量制限を守ることは、VRChatを快適に楽しむための基本的なマナーと言えます。
イベント参加時に容量が重要な理由

<イベント参加への注意事項>
・アバター容量は30MB以内
・巨大アバターやNSFW、過度なパーティクルは禁止
・健全なマナーでの参加をお願い致します
・PC専用worldです当日はスタッフの指示を聞いて頂き、困ったことがあればスタッフリングのあるスタッフにお声かけ下さい。https://t.co/5BuUHNBHC1
— TRK(とろき) (@TRK_vrc) April 4, 2025
音楽ライブや集会、展示会など、VRChatでは日々様々なイベントが開催されています。これらのイベント、特に多くのユーザーが同じインスタンスに集まる大規模なものでは、一人ひとりのアバター容量が全体のパフォーマンスに直接影響を及ぼします。
イベント主催者は、参加者全員が快適に過ごせるよう、ワールドの最適化に力を入れています。しかし、参加者のアバターが非常に重い場合、主催者側の努力だけでは負荷を抑えきれないことがあります。
これが、イベント参加条件に「アバター容量〇〇MB以下」や「パフォーマンスランクPoor以上」といった制限が設けられる主な理由です。
普段から自分のアバターを軽量化しておくことで、参加できるイベントの選択肢が広がります。また、イベントの主催者や他の参加者への配慮にもつながり、インスタンス全体の安定に貢献できます。
自分のためだけでなく、コミュニティ全体のためにアバターの容量を意識することは、とても大切な心がけです。
VRChatアバター容量の目安と軽量化
- アバター容量を減らすためのポイント
- おすすめのアバター軽量化ツール
- テクスチャの最適化で容量を削減
- Unityで実践する具体的な軽量化
- VRChatアバター容量目安の総まとめ
アバター容量を減らすためのポイント

アバターの容量を効果的に減らすためには、複数の要素に注目して最適化を行う必要があります。やみくもに作業するのではなく、どこが容量を圧迫しているのかを理解し、優先順位をつけて取り組むことが大切です。
主なポイントは、メッシュ、テクスチャ、マテリアル、PhysBoneの4つです。 メッシュに関しては、ポリゴン数を削減することが基本となります。特に衣装などで隠れて見えない部分の素体メッシュを削除するだけでも、大きな効果が期待できます。
テクスチャは容量に最も大きな影響を与える要素の一つです。解像度を適切に設定し、不要なテクスチャを削除することで、大幅な容量削減が可能です。マテリアルについては、複数のメッシュで同じマテリアルを共有したり、使用するマテリアルの数を減らしたりすることで最適化を進めます。
最後にPhysBoneですが、不要な揺れ物設定を無効化したり、複数のコンポーネントを統合したりすることで、パフォーマンスへの負荷を軽減できます。これらの要素をバランス良く調整することが、軽量で快適なアバターへの近道となります。
おすすめのアバター軽量化ツール
アバターの軽量化作業は手動で行うと非常に手間がかかりますが、便利なツールを活用することで、そのプロセスを大幅に自動化・効率化できます。ここでは、多くのVRChatユーザーに利用されている代表的なツールをいくつか紹介します。
最も有名なのが、anatawa12氏が開発した「Avatar Optimizer(AAO)」です。このツールは、アバターにコンポーネントを追加するだけで、ビルド時に非表示メッシュや不要なボーン、使われていないシェイプキーなどを自動的に削除・最適化してくれます。
専門的な知識がなくてもワンクリックで高い軽量化効果が得られるため、初心者から上級者まで幅広くおすすめできます。
また、テクスチャの管理には「lilAvatarUtils」が便利です。これは、アバターに使用されている全てのテクスチャを一覧表示し、解像度や圧縮設定を一括で変更できるツールです。どのテクスチャが容量を圧迫しているかを視覚的に把握しやすくなります。
これらのツールはVRChat Creator Companion(VCC)経由で簡単に導入できるため、アバター改変を行う際にはぜひ活用してみてください。
テクスチャの最適化で容量を削減
前述の通り、アバター容量においてテクスチャが占める割合は非常に大きいです。そのため、テクスチャを最適化することは、軽量化において最も効果的な手段の一つと言えます。
最適化の基本は、テクスチャの解像度(Max Size)を見直すことです。例えば、4096×4096(4K)のテクスチャは非常に綺麗ですが、その分データ容量も膨大になります。これを2048×2048(2K)や1024×1024に下げるだけで、容量は劇的に減少します。
顔や衣装のメイン部分など、目立つ箇所は高解像度を維持しつつ、小物やアクセサリーなど、細部まで見られない部分の解像度を下げるといったメリハリをつけるのがコツです。
また、圧縮設定(Compression)の調整も有効です。一般的には「Normal Quality」で十分ですが、解像度を下げたことで見た目の劣化が気になる場合は「High Quality」に設定することで、容量の増加を抑えつつ画質を改善できます。
ただし、Unityの「Use Crunch Compression」は、現在はVRChat側で自動的に圧縮が行われるため、特別な理由がない限りは使用を避けるのが一般的です。
Unityで実践する具体的な軽量化
ここでは、Unityエディタ上で実践できる具体的な軽量化の手順を解説します。ツールを使いつつ、手動での調整も加えることで、より高い最適化を目指します。
不要なオブジェクトの無効化
まず基本となるのが、使用しないメッシュやコンポーネントの無効化です。着せ替えを行った後のデフォルト衣装や、使わない小物などは、Hierarchy上で非表示にするだけでなく、InspectorのTagを「EditorOnly」に変更しましょう。
これにより、非表示にしたオブジェクトがアップロード時にデータに含まれなくなり、容量を削減できます。
メッシュの統合と削除
複数のメッシュ(例えば、髪の毛が前髪、後ろ髪、サイドで分かれている場合など)を一つに統合することも有効です。Avatar Optimizerの「Merge Skinned Mesh」機能を使えば、複数のメッシュを一つにまとめることができ、描画負荷(ドローコール)の削減につながります。
さらに、服に隠れて絶対に見えない素体の胴体や足といった部分は、「Remove Mesh By BlendShape」や「Remove Mesh Box」といったツールでポリゴンごと削除してしまいましょう。
これらの作業を組み合わせることで、アバターの基本性能を大きく向上させることが可能です。アップロード前には必ず動作確認を行い、意図しない部分が消えていないかなどをチェックすることが大切です。
VRChatアバター容量目安の総まとめ
この記事で解説したVRChatアバターの容量に関する重要なポイントを以下にまとめます。
- VRChatのPC版アバター容量上限は圧縮200MB、非圧縮500MB
- 容量はVRChatクライアント内かUnity上で確認可能
- 多くのアバターは20MB以下だが近年は増加傾向にある
- 容量はパフォーマンスランクに直結し、他者からの見え方に影響する
- 容量オーバーのアバターは表示されない、または他者に負荷をかける
- イベントでは容量やパフォーマンスランクに制限がかかることがある
- 軽量化はメッシュ、テクスチャ、マテリアル、PhysBoneが要点
- 見えない部分のメッシュ削除は効果が高い
- テクスチャの解像度見直しが最も容量削減に繋がりやすい
- 「Avatar Optimizer」は導入必須レベルの自動軽量化ツール
- 「lilAvatarUtils」でテクスチャの一括管理と編集が可能
- Unityで不要オブジェクトは非表示でなく「EditorOnly」タグを設定
- メッシュ統合は描画負荷の軽減に有効
- 軽量化は自分だけでなくコミュニティ全体への配慮となる
- 普段から軽量化を意識することでより多くのVRChatコンテンツを楽しめる


