VRChatをプレイしていると、時には迷惑行為に遭遇することもあるかもしれません。そのような状況への対処法として、VRChatにはキックという機能が用意されていますが、その正しいやり方や成立するための条件、必要な人数について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
また、万が一自分がキックされるとどうなるのか、投票したことが相手にバレるのではないかという不安を感じることもあるでしょう。
さらに、いざという時にキック投票できない場合の対処法や、ワールドのインスタンスオーナーによるキックの仕組みについても、理解を深めておくことが大切です。
この記事では、これらの疑問に一つひとつ丁寧にお答えしていきます。
- VRChatのキック機能の基本的な仕組みと投票のやり方
- キックが成立するための具体的な条件や投票に関する注意点
- キックされた場合の影響や、投票できない時のトラブル対処法
- インスタンスオーナーの権限や、ブロック機能との適切な使い分け
VRChatのキックの基本と投票のやり方
- VRChatのキックとは
- キック投票の具体的なやり方
- 投票を開始するためのキック投票 条件
- キック成立に必要となる投票の人数
- 投票の提案者がバレる心配はない?
- プレイヤーがキックされるとどうなる?
VRChatのキックとは
VRChatにおけるキックとは、インスタンス(プレイヤーがいるワールド)内で迷惑行為を行う特定のユーザーを、他のユーザーたちの投票によって強制的に退出させる機能のことです。
これは、不特定多数のプレイヤーに対して嫌がらせを行うような悪質なユーザーへの対応として効果的な手段となります。あくまでインスタンス内の他のプレイヤーと協力して行うものであり、コミュニティの安全を保つための仕組みと考えるとよいでしょう。
個人的に特定のユーザーとの関わりをすぐに絶ちたい場合は、後述するブロック機能の方が確実です。

状況に応じてキックとブロックを使い分けることが、快適なVRChatライフを送るための鍵となります。
キック投票の具体的なやり方
キック投票を提案する手順は、決して複雑ではありません。以下のステップで進めることができます。
- ゲーム内でクイックメニューを開きます。
- キックしたいユーザーにカーソルを合わせ、選択します。
- そのユーザーに関するメニューが表示されます。ユーザーメニューの中から「Vote to Kick」という項目を探し、選択します。
これを実行すると、あなたからのキック提案がインスタンス内にいる他のプレイヤーに通知され、投票が開始されます。
投票が始まると、あなたの画面左下にあるマイクアイコンの近くに、丸に斜線が入った赤いマークが表示されます。これは、現在インスタンス内で何らかのキック投票が進行中であることを示す合図です。
投票を開始するためのキック投票の条件
誰でもいつでもキック投票を提案できるわけではありません。この機能が悪用されるのを防ぐため、一つの明確な条件が設けられています。
その条件とは「投票を提案するプレイヤーが、そのインスタンスに最低でも5分間滞在していること」です。
このルールは、荒らし目的でインスタンスに入ってきて、すぐに他のユーザーを無差別にキックしようとする行為を防ぐためのものです。
ある程度の時間その場にいることで、状況を正しく判断する機会が与えられ、無用なトラブルを避ける狙いがあります。したがって、インスタンスに入ってすぐのタイミングでは投票を提案できないことを覚えておきましょう。
キック成立に必要となる投票の人数
キック投票が提案された後、実際にそのユーザーがキックされるためには、一定数の賛成票が必要です。
具体的には、そのインスタンスに参加しているプレイヤーの過半数が賛成票を投じることでキックが成立します。特定の「〇人以上が賛成すればOK」という固定の人数ではなく、その時々の参加人数に対する割合で決まる点が特徴です。
例えば、インスタンスに10人いる場合は、6人以上の賛成が必要になります。逆に、人数が少ないワールドでは、比較的少ない賛成票でキックが成立することもあります。このため、多くの人が被害を受けている状況でなければ、キックが成立しない可能性も考えられます。
投票の提案者がバレる心配はない?
キック投票を提案する際に「自分が提案したことが相手や他の人に知られてしまうのではないか」と心配になる方もいるかもしれません。
この点については、心配は不要です。VRChatのキック投票は、誰が投票を提案したのか、そして誰が賛成・反対したのかが他のプレイヤーに表示されない匿名性の高い仕組みになっています。
投票が開始されると、各プレイヤーのメニューには投票画面が表示されますが、そこには提案者の名前は記載されません。この仕組みにより、報復などを恐れることなく、インスタンスの安全を守るために安心して投票に参加できます。
あくまでコミュニティ全体でインスタンスの環境を維持するための機能であり、個人の特定に繋がることはありません。
プレイヤーがキックされるとどうなる?
キック投票で過半数の賛成票が集まり、キックが成立した場合、対象となったプレイヤーには以下の2つの影響が発生します。
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インスタンスからの強制退出 キックが実行されると、そのプレイヤーは即座に現在いるインスタンスから強制的に退出させられます。多くの場合、自身のHomeワールドなど別の場所に移動させられます。
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一時的な再入場制限 退出させられた後、そのプレイヤーは最大で1時間、同じインスタンスに再入場することができなくなります。これは、自分で再度入り直そうとするだけでなく、インスタンス内にいるフレンドから招待(Invite)を受けたり、参加リクエスト(Request Invite)を送って承認されたりした場合でも同様で、インスタンスに戻ることはできません。

この時間制限により、迷惑行為をしていたユーザーがすぐに戻ってきて再び問題を起こすことを防いでいます。
VRChatのキックの詳細とトラブル対処法
- インスタンスオーナーは無投票でキックできる
- 駐車禁止マークは投票開始の合図
- キック投票できないときの原因と対策
- 即時対応に有効なブロックとの違い
- VRChatのキックを正しく理解しよう
インスタンスオーナーは無投票でキックできる
通常のキックは多数決による投票が必要ですが、一つだけ例外的なケースが存在します。それは、インスタンスを建てた本人(ワールドオーナーやインスタンスマスター)がキックを行う場合です。
インスタンスのオーナーは、他のプレイヤーの賛成を必要とせず、自身の判断だけで特定のユーザーをキックする権限を持っています。操作も非常に簡単で、対象ユーザーのメニューからボタンを一つ押すだけで即座に実行できます。
この権限は、イベントを開催している際や、フレンドだけのプライベートな空間でルールを乱すユーザーが現れた場合に、迅速な対応を可能にするためのものです。前述の通り、この方法でキックされたユーザーも、通常の投票キックと同様に1時間はそのインスタンスに戻ることができなくなります。
駐車禁止マークは投票開始の合図
VRChatを始めたばかりの初心者が特に驚きやすいのが、画面左下に突然現れる赤い「駐車禁止」のようなマークです。
これがいきなり表示されると「自分が何か悪いことをしてしまったのではないか」「ペナルティを受けたのか」と焦ってしまうかもしれません。しかし、このマークが表示されても慌てる必要はありません。
このマークは「今あなたがいるインスタンス内で、誰かに対するキック投票が開始されました」という全体へのお知らせに過ぎません。多くの場合、あなた自身が投票の対象になっているわけではありません。
クイックメニューを開くと投票画面が表示されるので、状況を確認して賛成、反対、あるいは無視(棄権)を選択できます。自分が直接の被害者でなければ、無理に投票に参加する必要はないのです。

突然赤いマークが現れても慌てず、ひと呼吸おいてから落ち着いて対処しましょう。
キック投票できないときの原因と対策
いざキック投票をしようとしても「Vote to Kick」のボタンが押せない、あるいは表示されない場合があります。その際に考えられる主な原因は、あなた自身のセーフティー設定です。
VRChatには、他ユーザーのアバターや音声などを制限してパフォーマンスを安定させるための「セーフティー設定」があります。この設定が「カスタム(Custom)」になっていて、特定の項目を制限していると、キック投票などのソーシャル機能が正常に動作しないことがあるのです。
対処法
もしキック投票ができない場合は、以下の手順を試してみてください。
- クイックメニューから「SAFETY」タブを開きます。
- 「Shield Level」が「Custom」になっていないか確認します。
- 「Custom」になっている場合は、一度「Normal」など他のレベルに切り替えてみてください。
- それでも改善しない場合は「Custom」設定内の「Reset Custom Settings」を選択して、設定を初期状態に戻すことで解決する可能性があります。
ネットワーク接続の問題なども考えられますが、多くはこのセーフティー設定の見直しで対応できるはずです。
即時対応に有効なブロックとの違い
キックと混同されやすい機能に「ブロック」がありますが、両者は目的も効果も全く異なります。状況に応じて正しく使い分けることが大切です。

キックは「インスタンスからの一時的な追放」を目的とし、多数の同意を必要とする公的な対処法です。一方で、ブロックは「特定の個人とのコミュニケーションを完全に断つ」ための私的な自衛手段といえます。
両者の主な違いを以下の表にまとめました。
個人的に不快なユーザーに遭遇し、すぐに関わりを断ちたい場合は、投票に時間がかかるキックよりもブロック機能を利用する方がはるかに迅速で確実な対策となります。

個人的に迷惑なユーザーは即ブロックです!
VRChatのキックを正しく理解しよう
この記事では、VRChatのキック機能について多角的に解説しました。最後に、本記事の重要なポイントをまとめます。
- キックはインスタンス内の迷惑行為者への対処法
- キックの実行には他のプレイヤーの投票が必要
- 投票を提案するにはインスタンスに5分以上滞在する必要がある
- キックの成立にはインスタンスの過半数の賛成が求められる
- 誰が投票を提案したか他のプレイヤーにバレることはない
- 投票が始まると画面左下に赤い駐車禁止マークが表示される
- このマークは自分が対象でなくても表示される
- キックされるとインスタンスから強制的に退出させられる
- キック後は最大1時間そのインスタンスに再入場できない
- フレンドからの招待を受けても再入場は不可
- インスタンスのオーナーは投票なしでユーザーをキック可能
- キック投票ができない主な原因はセーフティー設定にある
- その場合は設定をNormalに戻すかリセットを試す
- 個人的・即時的な対応にはブロック機能が有効
- 状況に応じてキックとブロックを使い分けることが大切