「VRChatを始めたいけれど、高性能なグラフィックボード(グラボ)がないPCしか持っていない」と悩んでいませんか。
VRChatはグラボなしでの動作は可能なのか、特にPCVR(PCを使ったVR)は夢のまた夢だと諦めているかもしれません。
しかし、最近では内蔵GPUの性能も向上しており、適切な低スペック設定とバーチャルデスクトップのようなツールを組み合わせることで、限定的ながらもVRChatの世界に触れることが可能になってきています。
この記事では、グラボなしPCでVRChatに挑戦するための具体的な方法、設定、そして知っておくべき限界点について詳しく解説します。
VRChatはグラボなしで動く?基礎知識
- デスクトップモードの最低ライン
- PCVRモードは原則動作対象外
- 内蔵GPUでの動作検証レポート
- Intel Iris Xe Graphicsの可能性
- Ryzen APU(8700G)の検証結果
デスクトップモードの最低ライン
VRChatは、VR機器がなくてもPCのモニター上で操作する「デスクトップモード」で利用できます。
グラボなしのPC、つまりCPUに内蔵されたグラフィックス機能(内蔵GPU)で動作させる場合、このデスクトップモードが現実的な選択肢となります。
もちろん、快適に動作するかはPCのスペックに大きく左右されます。
データベース内の検証例によれば、Intel Celeron G3930(第7世代)にメモリ4GBといった、推奨スペックを大幅に下回る環境でも、ワールド(VRChat内の仮想空間)を選べば起動し、体験すること自体は可能だったという報告があります。
ただし、これはあくまで「起動できる」という最低ラインです。
軽いワールドや人が少ない場所を選んで、ようやく基本的な動作(歩く、見る)ができるレベルであり、多くのワールドや人が集まる場所では動作が非常に重くなるか、起動すら難しいと考えた方がよいでしょう。
したがって、グラボなしPCでのデスクトップモード利用は、「お試し体験」や「非常に負荷の軽い特定のワールド訪問」に限られると認識しておく必要があります。
PCVRモードは原則動作対象外
次に、VRゴーグル(HMD)をPCに接続して遊ぶ「PCVRモード」についてです。こちらは、デスクトップモードとは比較にならないほど高いグラフィック処理能力が求められます。
VRChatの公式が推奨するスペックを見ても、VRモードには専用のグラフィックボード(NVIDIA GeForce GTX 1060など)が最低ラインとして挙げられています。このため、グラボなしのPC(内蔵GPU)は、原則としてPCVRモードの動作対象外となります。
公式の接続ソフト(Oculus LinkやSteamVRなど)では、そもそもPCが要求スペックを満たしていないと判断され、接続自体ができないか、非常に不安定になるケースがほとんどです。
グラボなしのPCでPCVRに挑戦することは、公式にサポートされていない、自己責任の範囲での試みであることを理解しておくことが大切です。
内蔵GPUでの動作検証レポート
前述の通り、グラボなしでのPCVRは推奨されていませんが、実際にはどの程度動くものなのでしょうか。いくつかの検証レポートが存在します。
例えば、AMDのRyzen 7 5700GというCPU(内蔵グラフィックス搭載)を使用した検証では、画質設定を極限まで下げることで、PCVRモードでVRChatが「ギリギリ遊べた」という結果が報告されています。

具体的には、接続アプリ(Virtual Desktop)の画質を最低の「Poteto」に設定し、SteamVRの解像度も大幅に下げることで、平均31fps(フレームレート)程度を維持できたようです。
ただし、その代償として画質は著しく低下し、遠くのユーザーがモザイクに見えたり、文字が読みにくくなったりするなど、快適な体験とは言い難い状態であったとされています。
このことから、内蔵GPUでも「動かすこと」自体は不可能ではないものの、それには大幅な画質の犠牲が伴うことが分かります。
Intel Iris Xe Graphicsの可能性
近年のノートPCに搭載されている内蔵GPUとして、Intel Iris Xe Graphicsが挙げられます。
これは、第11世代以降のIntel Coreプロセッサに搭載されており、従来のIntel HD GraphicsやUHD Graphicsと比較して、グラフィック性能が向上しています。
データベース内の情報によれば、このIris Xe Graphicsを搭載したノートPCでPCVRに挑戦した例があります。この試みでは、公式の接続ソフトではなく、後述する「Virtual Desktop」という有料アプリを使用しています。
成功の鍵を握るのが、Intelが提供する最新のグラフィックドライバです。Intelは近年、ゲーム性能を最適化するためのドライバ更新を頻繁に行っており、これを適用することが前提となります。
ただし、Iris Xe Graphics搭載機であっても、動作は非常に不安定であり、VRChatやSteamVRのアップデートによって急に起動しなくなるリスクを常にはらんでいます。
ログインできたとしても、画質やフレームレートはQuest 2単体で動かす場合(Quest版VRChat)と比べて、必ずしも優れているとは言えない状況のようです。
Ryzen APU(8700G)の検証結果
さらに新しい世代の内蔵GPUとして、AMDのRyzen 7 8700Gに搭載されている「Radeon 780M」も注目されています。これは、一昔前のエントリークラスのグラボに匹敵する性能を持つとも言われています。
この8700Gを使用したVRモードの検証結果も報告されています。

画質設定を最低の「Poteto」にした場合、平均40.84fpsを記録し、Ryzen 7 5700Gの時よりも改善が見られました。しかし、画質設定を「High」に上げると平均fpsは15.61まで落ち込み、実用には耐えない結果となっています。
また、8700Gで性能を引き出すためには、PCのBIOS設定を変更し、内蔵グラフィックに割り当てるメモリ量(VRAM)を手動で増やす(例:512MBから16GBへ)という専門的な作業が必須となります。
さらに、内蔵GPUの性能はメインメモリの速度にも依存するため、高速で高価なメモリ(DDR5-6000など)が必要となり、結果として「グラボなしで安く組む」という当初の目的からは外れてしまう可能性も指摘されています。
VRChatをグラボなしでPCVR化する道
- 接続に必要なバーチャルデスクトップ
- SteamVRとVRChatの低スペック設定
- 画質と安定性の現実的な限界点
- ドライバ更新の重要性
- 快適性を求めるならおすすめのグラボは?
- VRChat グラボなし挑戦の総括
接続に必要なバーチャルデスクトップ
グラボなしPCでPCVRに挑戦する場合、公式の接続ソフト(Oculus Linkなど)は動作対象外であるため、別の接続方法が必要になります。
ここで中心的な役割を果たすのが「Virtual Desktop(VD)」というHMD(VRゴーグル)向けの有料アプリケーションです。
Virtual Desktopは、PCの画面をワイヤレスでVRゴーグルにストリーミングするアプリで、PCVRの動作要件を満たしていないPCでも接続を試みられる場合があります。グラボなし環境での数少ない成功例の多くは、このVirtual Desktopを介しています。
ただし、Virtual Desktopは有料(約2,000円程度)であり、購入したからといって、グラボなしPCでの動作が保証されるわけではありません。あくまで自己責任での購入・試行となります。
ちなみに、Meta Questには「Steam Link」という無料の公式ストリーミングアプリも存在します。
こちらもPCVRをワイヤレスで遊ぶためのものですが、グラボなし環境での動作はVirtual Desktop以上に厳しい可能性があります。とはいえ、無料であるため、先にこちらで試してみる価値はあるかもしれません。
SteamVRとVRChatの低スペック設定
Virtual DesktopやSteam LinkでPCと接続できたとしても、そのままでは重すぎて動作しません。次に、SteamVRとVRChat本体の両方で、徹底的な「低スペック設定」を施す必要があります。
SteamVRの設定
SteamVRの設定画面では、レンダリング解像度を可能な限り下げる必要があります。
検証レポートによれば、カスタム設定で片目あたりの解像度を最低値(例: 920×984)まで引き下げることで、ようやく動作したという例があります。また、リフレッシュレートも最低値(例: 72Hz)に設定します。
VRChat内の設定
VRChatを起動したら、まずグラフィック設定を開きます。
品質のプリセットを「低(Low)」にするか、さらにカスタムして「アンチエイリアシング」を無効、「ミラー解像度」を4分の1にするなど、描画負荷を下げるあらゆる設定を試みます。
さらに重要なのが、他人のアバターに関する設定です。アバターの表示距離を「ごく狭く」、表示するアバターの数を「ごく少なく」設定し、メモリ(VRAM)の消費を極力抑えます。
これらの設定は、画質を大幅に犠牲にする代わりに、内蔵GPUでも処理できるデータ量まで負荷を引き下げることを目的としています。
画質と安定性の現実的な限界点
ここまで設定を突き詰めて、仮にVRChatがVRモードで起動したとしても、その体験は多くの人が想像する「綺麗なPCVRの世界」とは大きく異なります。
画質
前述の通り、解像度を極端に下げているため、視界はPlayStation 1時代のゲームのようにカクカクとした、ぼやけたものになります。
文字はほとんど読めず、数メートル先のフレンドの姿もモザイクやシルエットクイズのように見える、と表現されています。Quest単体版のVRChatの方が、よほど高画質に感じられる可能性が高いです。
安定性
グラボなし環境は、VRChat、SteamVR、そしてグラフィックドライバの「奇跡的なバランス」の上で、かろうじて成り立っています。
そのため、いずれかのソフトウェアがアップデートされると、途端に起動しなくなるリスクが常に伴います。今日動いたからといって、明日も動く保証はどこにもありません。この不安定さこそが、グラボなしPCVRの最大のデメリットと言えます。
ドライバ更新の重要性
この不安定な環境において、唯一の希望とも言えるのが、IntelやAMDが提供するグラフィックドライバの更新です。
特にIntelは、Iris Xe Graphicsや新しいArc Graphics向けに、人気のゲームに対応した最適化ドライバを頻繁にリリースしています。グラボなし環境でVRChatが起動しなくなった際、最新のドライバに更新することで問題が解決する(あるいは、逆に問題が発生する)ケースがあります。
もし、お持ちのPCが古い(例えば2017年頃のHD Graphics搭載機など)場合、これらの最新ドライバのサポート対象外となっていることが多く、その時点でPCVRへの挑戦はほぼ不可能となります。
少なくとも、Iris Xe Graphics(2021年以降のモデル)や、Ryzen 5000Gシリーズ以降のAPUが、挑戦のスタートラインと言えるでしょう。
快適性を求めるならおすすめのグラボは?
グラボなしでの挑戦は「PCワールドのアバターやギミックをどうしても見たい」という差し迫った動機がある場合の、最終手段に近いものです。
もし、あなたがVRChatを「快適に」楽しみたい、美しいワールドを巡りたい、多くのフレンドと安定して交流したいと考えるのであれば、専用のグラフィックボード(グラボ)を搭載したPCを準備することが、最も確実で、結果的に満足度の高い選択となります。
2025年現在、VRChatを快適に遊ぶためのおすすめのグラボとしては、価格をなるべく抑えたいのであればNVIDIA GeForce RTX 3060あたりが挙げられます。
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これであれば、多くのワールドで十分なフレームレートを確保しつつ、画質もある程度高く設定できます。
もちろん、ゲーミングPCの購入には費用がかかります。しかし、VRChatという趣味を長く続けるための「環境整備」や「必要な機材への投資」として捉える考え方もあります。

VRChat グラボなし挑戦の総括
VRChat グラボなしでの挑戦について、その可能性と限界をまとめてみました。最後に、この記事の要点を箇条書きで整理します。
- グラボなしPCでのVRChat利用は「デスクトップモード」が基本
- デスクトップモードでも低スペックPCでは動作が非常に重い
- 軽いワールドや人が少ない場所を選ぶ必要がある
- PCVRモードは内蔵GPUでは「原則動作対象外」
- 公式の接続ソフト(Oculus Linkなど)は使用できないことが多い
- PCVR化には「Virtual Desktop」などの有料アプリが鍵となる
- Steam Link(無料)で試すことも可能だが、動作はより厳しい可能性がある
- Intel Iris Xe GraphicsやRyzen 5000G/8000Gシリーズの内蔵GPUが最低ライン
- 古い内蔵GPU(HD Graphicsなど)ではPCVRはほぼ不可能
- SteamVRとVRChatの両方で徹底的な「低スペック設定」が必須
- 解像度やリフレッシュレートを最低値まで下げる必要がある
- アバターの表示距離や人数も最小限に制限する
- 起動できたとしても、画質はQuest単体版以下になる可能性が高い
- 視界はモザイク状になり、文字も読みにくくなる
- 動作は非常に不安定で、アップデートのたびに起動しなくなるリスクがある
- IntelやAMDの最新グラフィックドライバの適用が重要
- 快適なVR体験を求めるなら、RTX 4060などの専用グラボ搭載PCを推奨する
- グラボなしでの挑戦は、画質や安定性を度外視した最終手段である

